2004 Fiscal Year Annual Research Report
流れをもつプラズマの安定性と揺らぎ-非エルミート系のスペクトルと繰り込み理論
Project/Area Number |
03J11704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣田 真 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマ / 波動・安定性 / Hall効果 |
Research Abstract |
流れをもったプラズマの平衡は、ベータ値の高い先進的核融合炉の実現可能性を秘めており、近年、様々なアプローチから研究されている。中でも2流体効果を含んだHall MHD(magnetohydrodynamics)モデルでは、通常のMHDに比べて流れがより本質的に寄与し、バラエティに富んだ平衡状態が存在することで知られる。 本研究ではこのような流れをもった平衡の「安定性解析」を主な課題として取り組んでいる。特に今年度は日米科学技術協力プロジェクトの一環でニューヨーク大学のE.Hameiri教授と3ヶ月間、共同研究を行った。E.Hameiri教授は最新の論文で、流れの無いHall MHD平衡の安定性を調べたが、安定性条件はMHDとあまり変わらないという結果であった。Hall効果は流れが存在する上で本質的な寄与をすると予測されるので、E.Hameiri教授の結果を流れがある場合に拡散することを試みた。 プラズマの安定性解析には古くからLagrange変位が用いられている。本来、MHD方程式は密度、圧力、磁場、流速の8変数であったのに対し、Lagrange変位の方程式のみに簡略化できたのは初期条件に特殊な仮定を導入したからである。この仮定は質量、エントロピー、磁束などの保存量を変化させないという事に対応しているが、本研究ではさらに初期の「電荷中性」を仮定することで、Hall MHD方程式に対してもLagrange変位による簡略化を行った。Hall MHDでは、イオンと電子が別々に運動するため、二つのLagrange変位を導入する必要があるが、最終的にHamilton形式と呼ばれる対称性をもった方程式が得られた。このような対称性をもつ方程式ではHamiltonianの第2変分の正値性から安定性の十分条件が得られる可能性がある。 ここまでの議論は非常に一般的であるため、本研究では非圧縮性を仮定し、double Beltrami条件を満たす特別な平衡の安定性を具体的に考察した。結果として、すべての保存量(カシミール)を変化させない摂動(Dynamically accessible variation)に対しては、特定のパラメータ領域でdouble Beltrami平衡が安定であることがわかった。
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Research Products
(1 results)