2005 Fiscal Year Annual Research Report
流れをもつプラズマの安定性と揺らぎ-非エルミート系のスペクトルと繰り込み理論
Project/Area Number |
03J11704
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
廣田 真 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 学振特別研究員(DC1)
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Keywords | プラズマ / 波動・安定性 / ホール効果 |
Research Abstract |
プラズマの安定性を調べるには、線形化されたMHD方程式を解かなければならないが、それには非エルミート作用素のスペクトル理論を必要とし、数学的には非常に難しい問題である。ただし、MHD方程式はハミルトン形式に書き表すことができるため、直接解かなくても変分原理によって平衡や安定性をある程度まで議論することができる。本研究ではDynamically Accessible Variation(以下、DAV)と呼ばれる変分法について注意深く考察し、これが従来の変分的手法よりも優れている点を明らかにした。Energy-Casimir methodによれば、任意のハミルトン系において、ハミルトニアンHとカシミール不変量Cの和の極値δ(H+C)=0は平衡状態であり、さらに第二変分が正(or 負)定値であればその平衡は安定である。この手法はカシミール不変量が何かを具体的に知っている必要があり、3次元MHDの場合、テイラー状態にしか適用できないという問題がある。 一方、MHD安定性解析でよく用いられるエネルギー原理は任意の平衡に対して適用できるものの、特殊な摂動が仮定されており、その関数空間での安定性しか議論していない。また、流れをもった平衡に対しては、しばしばエネルギーが不定値になってしまうという問題がある。 DAVは理論上すべてのカシミール不変量を一定に保つ特別な変分である。DAVによるハミルトニアンの第二変分はカシミール不変量を知らなくても計算でき、Energy-Casimir methodやエネルギー原理と比べて、正定値になりやすい。本研究では、第一変分δ(H+C)=0によって特徴づけられる平衡に対しては、DAVによる第二変分が正定値であることが、全ての摂動に対する安定性の十分条件となることを示した。具体的には、プラズマの2次元的な運動に対して、DAVが常に他の変分法よりも優れていることがわかる。
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Research Products
(1 results)