2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11719
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 尚寛 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | グリコシル化反応 / ブレンステッド酸 / 界面活性剤 / 水系溶媒 / フッ素溶媒 / エステル化反応 / 脱水反応 / フルオラス |
Research Abstract |
申請者のグループでは、これまでに、DBSA(dodecylbenzenesulfonic acid)などの界面活性剤型Bronsted酸触媒が、疎水性基質存在下、水中において疎水的反応場を形成し、水中での脱水的エステル化やエーテル化、チオアセタール化反応などにおいて有効に機能することを見出している。一方で、糖質は、エネルギー代謝や細胞外マトリックスの主要な構成成分であるだけでなく、細胞間の認識、輸送、接着に関わる重要な情報分子の担い手でもあり、その機能解明のためには自在に糖質を合成できることが必要不可欠である。このような背景のもと、有機合成において糖質合成の根幹をなす、グリコシド結合生成反応の開発が重要な課題として注目されている。そこで今年度、申請者は、DBSAを触媒とする水中での脱水的グリコシル化反応について検討した。 3位と5位をベンジル基で保護した2-デオキシリボースと1-ドデカノールを基質とし、10mol%のDBSA存在下、40℃で反応を行ったところ、α/β選択性は低いものの、高収率で目的物が得られることがわかった。さらに、同様の条件下、2,3,5位をベンジル基で保護したリボースと1-ドデカノールを基質として反応を行うと、高β選択性、かつ良好な収率で目的物が得られた。また、2,3,4,6位をベンジル基で保護したグルコースやガラクトースを用いた場合には、高い反応温度が必要なものの、中程度の収率で反応が進行した。さらに、α/β選択性に関しては、2,3,4,6位をペンジル基で保護したマンノースを用いると、高いα選択性をもって目的物が得られることが明らかとなった 一方で、これまでに開発された水中での脱水反応では、疎水性の高い基質でのみ反応が進行し、親水性の高い基質を用いることができないという欠点であった。そこで、無保護の糖など、親水性の高い基質にも適用可能な新規触媒系の開発を行うことにした。種々の検討の結果、パーフルオロメチルシクロヘキサンを共沸溶媒とし、フルオラスな界面活性剤型Bronsted酸触媒を用いることで、水溶性の糖に対するグリコシル化反応が効率よく進行することを明らかにした。
|