2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11719
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
青山 尚寛 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 相間移動触媒 / フルオラス溶媒 / アルキル化反応 / エポキシ化反応 / フルオラスケミストリー / 界面活性剤 / 三相系 |
Research Abstract |
近年、フルオラス溶媒を反応媒体とする有機合成反応の開発が活発に行われている。今年度、申請者は、フルオラス溶媒を水相や有機相の分散媒体として活用することを考え、水相-有機相の二相間で反応が行われる相間移動触媒をモデル反応に、フルオラス溶媒とフルオラス添加剤の検討を行った。その結果、フルオラス性と脂溶性を有する添加剤では反応の進行が遅くなるのに対し、フルオラス性と親水性を有する添加剤、特にフルオラスアルコールを用いることで反応が加速されることを見出した。フルオラスアルコールの水酸基部位とフルオラス置換基に関して更なる最適化を行ったところ、フルオラスジオールが最も良好な結果をもって相間移動触媒反応を加速させることを見出した。すなわち、フルオラスジオールである3-パーフルオロオクチル-1,2-プロパンジオールと、フルオラス溶媒であるパーフルオロメチルシクロヘキサン存在下に、ベンジルフェニルケトンのベンジル化反応を行うと、約10分で目的物が定量的に得られた。このとき、フルオラスジオールとフルオラス溶媒なしでは低収率にとどまることから、本触媒系の優位性を示すことができた。 本反応系を観察すると、フルオラスジオールとフルオラス溶媒により、水相と有機相がPFMC中に分散している様子が見られたことから、水相-有機相の二相間の界面の面積が増大することにより効率的な反応場として機能したものと考えられる。従って、本反応系は効率の良い相間移動触媒反応系という面にとどまらず、有機合成反応におけるフルオラス溶媒の新規な用途を開拓できたという面で興味深い。 さらに、本反応系は相間移動触媒を用いる他の反応へも応用可能であり、相間移動触媒を用いるエポキシ化反応においても同様の加速効果が観測されることを明らかにした。
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