2004 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和性汎用アリル化反応の不斉触媒化と有用天然物レベロマイシンの合成への展開
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03J11730
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 麗子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 触媒的不斉アリル化 / ケトン / アリルボロネート |
Research Abstract |
アリルトリメトキシシラン1を用いた触媒的不斉アリル化では15mol%の触媒量が必須であったが、アリル化剤としてピナコールアリルボロン酸エステル2を用い、添加剤としてLa(O^iPr)_3を加えることにより、3mol%にまで触媒量を低減化することに成功した。すなわち、3mol%のCuF_2・2H_2Oと6mol%(R,R)-^iPr-DUPHOSから調製されるCuF触媒に対して4.5mol%のLa(O^iPr)_3を添加すると、反応時間が大幅に短縮された。アリルトリメトキシシランを用いるとLa(O^iPr)_3存在下では反応は全く進行しなかった。さらに基質一般性の検討を行った結果、アリルトリメトキシシランを用いた場合と比較して同程度あるいは高い選択性で生成物が得られた。また、クロチルボランを用いたケトンのクロチル化は、La(O^iPr)_3非存在下では全く進行しなかったのに対し、La(O^iPr)_3存在下では速やかに進行し、最高93%eeで目的物が得られた。本クロチル化はケトンの触媒的不斉クロチル化のはじめての例である。 ^<19>F-NMRを用いたメカニズム解析により、アリルトリメトキシシラン1を用いた反応における活性種は1とCuFとの間でのリガンド交換により生じるアリルシリケートあるいはアリル銅であることを既に報告していた。2を用いた場合に、1に用いた場合と同様の不斉収率で生成物が得られたこと、およびアリルトリブチルスズ3を用いてもアセトフェノンから81%eeの生成物が得られた(2および3からはそれぞれ81%ee、82%eeの生成物が得られた)ことから本反応の活性種はアリル銅であることが強く示唆される。また、速度論実験により、本反応の律速段階は触媒の再生過程であることが明らかとなり、さらに^<31>P-NMR解析によりLa(O^iPr)_3はこの律速段階を促進させることにより反応を劇的に加速することが示唆された。
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Research Products
(1 results)