2005 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和性汎用アリル化反応の不斉触媒化と有用天然物レベロマイシンの合成への展開
Project/Area Number |
03J11730
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 麗子 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 触媒的不斉アリル化 / ケトン / イミン / アリルボロネート / フッ化銅 |
Research Abstract |
これまでにケトンに対する触媒的不斉アリル化反応の開発に成功している。アリル化剤としてアリルボロネートピナコールエステル1を用い、3mol%のCuF_2・2H_2Oと6mol%の(R, R)-^iPr-DUPHOSから調製されるCuF触媒に対して4.5mol%のLa(O^iPr)_3を添加すると、わずか1時間にて良好な収率、エナンチオ選択性にて目的物を得た。La(O^iPr)_3の反応加速メカニズムを明らかにする目的で、NMR解析を行った。^<11>B NMRにおいてアリルボロネートのピークはLa(O^iPr)_3を添加しても変化しなかった。それに対し、^<31>P NMRにおいてはCuF・3PPh_3のピーク(-7ppm)はLa(O^iPr)_3の添加により消失し、新たに二つのピーク(-9.5ppm,3.7ppm)を与えた。現在のところ、これら二つのピークはキュープレート種に起因すると考えている。キュープレート種が生じることにより、ボロネート1へのフッ素アニオンの転移が促進され、アリル銅の生成が加速されると考えられる。このように、本反応は三つの金属間での選択的なリガンド交換により効率的に進行することが示唆された。 また、ケトイミンに対する触媒的不斉反応への展開を目指し、はじめにラセミ体の合成の反応条件を確立した。基質としては安定で取り扱いが容易なジフェニルホスフィノイルイミンを選択した。反応条件の検討を行った結果、触媒量のCuFとLa(O^iPr)_3存在下、アリルボロネート1を用い、さらに^tBuOHを添加することで高い収率、基質一般性で目的物が得られた。触媒量に改善の余地が残されているものの、本反応は現在知られている反応のうち、最も一般性の高い、ケトイミンの触媒的アリル化反応である。
|