2004 Fiscal Year Annual Research Report
サンゴ年輪解析によるインド洋ダイポール変動の長期的復元
Project/Area Number |
03J11732
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
飯嶋 寛子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サンゴ年輪 / ダイポール変動 |
Research Abstract |
本研究は,インド洋ダイポール変動の特性を解析することを目的とし,造礁サンゴ骨格年輪の分析から西インド洋の過去数十〜百年の湧昇・海流,水温,降水量変動などの海洋環境を復元する.本年度は,サンゴ骨格年輪の分析によってどのような環境指標を復元することができるかについて,評価を行った. サンゴ骨格に紫外線を当てると年輪に平行に蛍光バンドが観察され,この強度変化は河川流量(河川より流入する陸源土砂量)と比例すると報告されている.本研究では、紫外線下でのサンゴ骨格の写真撮影と画像解析から蛍光強度を見積もり,河川流量変動の指標として使用するための評価を行った.サンゴ骨格の蛍光強度測定は,これまでもオーストラリア海洋科学研究所のバーンズ博士らによって行われている.本研究では,すでに同研究所において蛍光強度が測定されている試料について測定を行い,蛍光バンドの位置および強さを比較した.その結果,どちらの方法でも各蛍光バンドのピークが同じ位置に観測され,また,相対的なピーク強度も一致した.この結果をケニア東岸マリンディにおいて採取したサンゴ骨格に応用した。その結果,マリンディのサンゴ骨格では,4-5月頃に弱い,10月頃に強い蛍光のピークが現れることが分かった.この蛍光強度変動は,マリンディでの降水量および流入する河川流量の季節変動と一致する.以上より,蛍光強度により河川流量変動を復元できることがわかった。 また,サンゴ骨格の酸素同位体比は,水温と塩分と比例関係にある海水の酸素同位体比によって決定されることから,西太平洋熱帯域パラオについて,サンゴ骨格の酸素同位体比からの塩分の復元を試みた.[Iijima et al.,2005].その結果,復元した塩分と海水を実測した塩分の差は0.1PSU以下であり,サンゴ骨格年輪が古塩分計として有用であることがわかった.
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Research Products
(1 results)