2004 Fiscal Year Annual Research Report
時間分解NEXAFS法の開発とそれを用いた表面動的過程の研究
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03J11744
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中井 郁代 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | X線吸収端近傍微細構造(NEXAFS) / X線光電子分光(XPS) / 時間分解分光法 / 表面反応 / 吸着 |
Research Abstract |
私はX線吸収端近傍微細構造法(NEXAFS)の測定を高速化し、表面の動的過程の機構解明に適用することに取組んでいる。昨年度、エネルギー分散X線と位置分解型検出器、パルス分子線、X線チョッパーを組み合わせることで、(i)表面反応を経時的に数秒の時間分解能で追跡する方法、(ii)過渡的吸着などの繰り返し現象を10ミリ秒程度の時間分解能で追跡する測定系を完成させた。 今年度はまず、さらなる測定装置の高度化を目指し、分子線の速度と時間分布を計測できるよう、飛行時間型質量分析器を自作して分子線導入部に組み込んだ。これにより、分子線の状態を確認しながら、X線とタイミングを合わせて(ii)の実験が行えるようになった。 さらに、完成した測定系を用いて、環境触媒の基礎として重要な、ロジウム表面上の窒素原子Nと一酸化窒素分子NOの反応機構の解明に取り組んだ。まず、(i)の時間変化を連続追跡する方法を用いて、Nがあらかじめ吸着した表面にNOガスを導入したときの反応速度および表面吸着種の状態変化を様々な条件で追跡した。通常の化学反応では反応は高温ほど速くなるが、高温ほど遅くなる領域を発見した。詳しい解析の結果、通常の表面反応のように表面に直接接した吸着種同士が反応するのではなく、第2層に緩く束縛された「プリカーサーー」と呼ばれる吸着状態にあるNO分子がN原子と反応していることを明らかにした。次に、この「プリカーサーー」を直接スペクトルとして捉えるため、(ii)の測定方法を適用した。NOがあらかじめ化学吸着した表面にさらにNO分子線を低温で照射し、変化を追跡した。その結果、分子線照射下では化学吸着NOとは明らかに異なる過渡的な吸着状態が生成するのを観測した。プリカーサーーを実際にとらえることができたと考えている。さらにプリカーサーーは第1層化学吸着分子との相互作用により安定化されていることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Adsorption States of Dialkyl Ditelluride Autooxidized Monolayers on Au(111)
Author(s)
T.Nakamura, T.Miyamae, I.Nakai, H.Kondoh, T.Kawamoto, N.Kobayashi, S.Yasuda, D.Yoshimura, T.Ohta, H.Nozoye, M.Matsumoto
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Journal Title