2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11747
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
阿部 穣里 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 相対論 / 4成分相対論的分子理論 / 積分変換 / 量子化学 |
Research Abstract |
重い原子を含む系のさまざまな化学的現象に相対論効果が重要な働きをしていることがわかったのは比較的最近のことである。分子の化学的性質は価電子によって決まり、相対論的効果が重要になる内殻電子は化学的性質に影響を与えないと信じられてきたためである。相対論効果を取り込むにはDirac方程式を解かねばならない。Dirac方程式は4次元行列で表現され、その解である波動関数は4成分を持っている。4成分法は計算コストの高い理論であり実用に関しては課題が残っていた。本研究室において効率的で高速な4成分原子軌道積分計算、Dirac-Hartree-Fock法、Dirac-Kohn-Sham法が開発されてきた。これらはこれまでに開発されている4成分理論に比べて、計算コストの向上の面でも理論的な正しさという面でも非常に優れている。この優位性を生かした応用計算が可能になるよう本研究ではさらに、高速な4成分積分変換プログラムを開発した。この研究により、電子相関効果を含む高精度相対論的計算の高速化が実現した。 さらに上記アルゴリズムを利用して4成分Dirac-Fock法,MP2法、CI法を相対論的効果が著しい2原子分子PtCu, PtAg, PtAuに応用した。実験値のあるPtCuについてはスペクトル定数を算出し、計算結果が実験値といい一致を示すことを確かめた。さらに実験値のないPtAg, PtAuおよびそのカチオンのスペクトル定数を高精度理論計算から予測した。
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Research Products
(2 results)