2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11748
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 祥一 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フォトニック結晶 / 光機能性材料 / 外場応答性 / 発光 |
Research Abstract |
フォトニック結晶の内部で蛍光物質が発光する場合、フォトニックバンドギャップに一致した光の発光が抑制されるため、光を結晶中に閉じこめることや、励起状態を制御することが可能になると考えられる。これを、これまでに研究してきたフォトニックバンドの外部刺激による制御と組み合わせることにより、基礎と応用の両面から新しい展開が期待できる。しかしながら、これまでフォトニック結晶に色素や半導体ナノ粒子などの発光物質を導入し蛍光挙動を観測した報告があるものの、その励起状態や発光挙動がどのような影響を受けるのかについて、いまだに結論が出ていない。 ポリスチレンの微粒子からなるオパール構造膜に蛍光色素ローダミン6Gを吸着し、時間分解蛍光スペクトルを測定することによって励起状態の評価を行った。その結果、オパール膜のストップバンドに対応する波長の発光強度が低下しており、検出角度の変化によってストップバンドがシフトするとともに蛍光強度が低下する波長が短波長側にシフトしていることも観察された。しかし、蛍光寿命の角度依存性は観察されなかった。さらにフォトニック結晶の効果を評価するために、ストップバンドが色素の発光波長と重ならない、粒径の小さい微粒子からなるオパール膜に、同様に色素を吸着し、蛍光寿命を比較した。その結果、これまでの予想とは逆に、フォトニック結晶の影響を受けることによって短寿命化することが明らかとなった。これは、ストップバンドのバンド端において光の状態密度が増加し、それによって発行速度が上昇することによるものであると考えられる。発行スペクトルで、通常は観測されないような鋭いピークがバンド端で観測されることも、この説明を支持している。このような効果は、これまでに検討されてこなかったものであり、フォトニック結晶の内部における発光挙動の解明に重要な意味を持つと考えられる。
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Research Products
(7 results)