2003 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子薄膜を用いた新規光メモリーデバイスの開発
Project/Area Number |
03J11751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植松 隆史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 光記録 / 半導体ナノ粒子 / 蛍光 |
Research Abstract |
スピンコート法により、ガラス基板上にCdSe/ZnSコアシェル型の半導体ナノ粒子薄膜を作成した。共焦点レーザー顕微鏡を用いて、「記録の書き込み」として7.4μm四方の微小領域に強度の強い励起光(11nW〜1370nW)を照射した。その後、「記録の読み出し」として60μm四方の領域に強度の弱い励起光(0.6nW)を照射することで、直前書き込みを行った7.4μm四方の微小領域と、書き込みを行っていないその他の領域の蛍光強度の差を読み取った。記録の書き込み、読み出しに用いた励起光の波長はすべて488nmで行った。 その結果、書き込み操作で使用した照射強度が強いほど該当領域の蛍光強度の増加率が低く、照射強度が弱いほど蛍光強度の増加率が高いことが確認された。この現象を用いて、照射強度による蛍光強度の多値記録が可能であることが示された。さらに、強度11nWの励起光を用いて、微小領域の蛍光強度を初期蛍光強度の約3倍に増加させた後、強度1370nWの励起光を同じ領域に照射すると、蛍光強度が初期蛍光強度の約1.6倍まで減少することが観察された。この同一領域における、11nWの励起光による初期蛍光強度の3倍の値の記録と、1370nWの励起光による初期蛍光強度の1.6倍の値の記録は、5回繰り返されることが実験により示された。すなわち、多値記録の書き込みと消去(記録の再書き込み)をすべて同一波長で行うことが可能であることを示した。これはCDやDVD等の従来の光記録が、記録用の波長の光と読玲出し用の波長の光の二種類の光を用いていることに比べ、大きな利点である。 また、この蛍光強度の励起光強度依存性は高湿度雰囲気下においても確認されたため、以前より報告されている水分子の光吸着以外のメカニズムが本現象に関与していることが示唆された。今後、デバイスの開発とともに、本現象のメカニズムの解明を検討する必要がある。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Takafumi Uematsu, Junichi Kimura, Shinya Maenosono, Yukio Yamaguchi: "Reversible Optical recording on a CdSe/ZnS nanocrystal Thin Film"International Symposium on Clusters And Nano-Assemblies : Physical and Bioiogical Systems(Symposium, proceeding有). in press(prcceeding). (2003)
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[Publications] 植松 隆史, 木村 淳一, 前之園信也, 山口由岐夫: "CdSeナノ粒子薄膜の蛍光特性の粒径依存性"秋季 第64回応用物理学会学術講演会. 研究発表会. (2003)