2004 Fiscal Year Annual Research Report
半導体ナノ粒子薄膜を用いた新規光メモリーデバイスの開発
Project/Area Number |
03J11751
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植松 隆史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ粒子 / 半導体 / 薄膜 / セレン化カドミウム / 蛍光 / 光メモリ / 共焦点レーザー顕微鏡 / 可逆変化 |
Research Abstract |
コロイド化学的にCdSe・ZnSコアシェル型ナノ粒子を合成し、スピンコート法によってガラス基板上にナノ粒子薄膜を作製した。この薄膜を窒素雰囲気下において連続励起することで蛍光強度を増加させ、最終的に飽和値に達することを、共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察した。このとき蛍光強度の増加率が照射する励起光の強度に依存し、またこの蛍光強度の増加が可逆的に行われることについて論文として発表した。 さらに同じ共焦点レーザー顕微鏡によって蛍光強度増加現象の膜厚依存性・励起光強度依存性・励起波長依存性について調べた。まず多層膜の場合には増加率が小さく、単層膜の場合には増加率が大きいことがわかった。この結果からガラス基板が蛍光強度増加現象のメカニズムに深く関与することが示された。次に励起光の照射強度が強いほど増加率が小さいということと、励起波長が長いほど増加率が小さいということが観察された。 以上の結果から、蛍光強度が増加するメカニズムとして、以下の仮説を考えた。ナノ粒子に光を照射した励起状態において、発光再結合とイオン化の大きく分けて2つのパスが存在する。粒子がイオン化した場合、電子が基板へ放出される。基板へ放出された電子は静電気的ポテンシャルを生み出し、周囲の粒子のイオン化が抑制されるため、発光再結合を行う確率が上昇して発光効率が上昇する。 この仮説において、多層膜の場合には上層にあるナノ粒子は基板から十分距離が遠いため静電気的ポテンシャルの影響を受けないと考えると、多層膜の蛍光強度の増加率が小さくなることが説明できる。またイオン化がAuger-assisted ionizationによって行われると考えることにより、励起光強度依存性・励起波長依存牲について説明することができた。
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Research Products
(2 results)