2003 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロ流体素子を用いた微小反応・分離場の構築とその生物反応プロセスへの応用
Project/Area Number |
03J11762
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山田 真澄 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マイクロ流体デバイス / 微小反応 / 生化学スクリーニング / PDMS |
Research Abstract |
本研究では,ナノリットル程度の非常に微小な液体を多数正確に秤り取り,同時に複数の液滴を混合することで,化学・生化学反応を並列に行うことのできるマイクロ流体アレイの開発を行ってきた。これまでの研究では,PDMS(ポリジメチルシロキサン)という材料を用い,疎水的表面を持つマイクロ流体デバィスを作製し,液体秤取の基本原理の構築,on-chip電気泳動のためのインジェクション法の開発等を行ってきたが,本年度は,より集積度の高いデバイス構築のための秤取液量の更なる微小化,具体的な応用例としてマイクロ流体アレイを用いたタンパク質の結晶化を行った。 まず、秤取液量の更なる微小化に関しては,ファブリケーションにおける流路構造のパターンとしてクロムマスクを用いることで,秤取液体の大幅な減少に成功した。最も最小の秤取チャネルとして,幅,深さ,長さがそれぞれ20,15,50マイクロメートルの秤取チャンバーを作製することにより,15ピコリットルという非常に微小量の液滴を秤取することに成功した。これは今までの方法の約100分の1程度の体積であり,この程度の液量を誤差数%程度で秤取する研究は今まで報告されていないため,画期的であるといえる。 続いて,マイクロ流体アレイの実際の応用として,微小スケールでのタンパク質結晶化条件スクリーニング系の構築を行った。タンパク質の結晶化には通常1条件あたり1マイクロリットル程度のタンパク質を必要とするが,マイクロ流体アレイを用いることで高価タンパク質の使用量を100分の1以下に抑えることがセきると期待される。実際にマイクロ流体アレイ中で結晶化を行ったところ,10ナノリットルレベルの結晶化条件で,バルク条件と同じ結晶形を有するタンパク質(卵白リゾチーム,グルコースイソメラーゼ)の結晶を得ることに成功した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Masumi Yamada: "Nanoliter-sized liquid dispenser array for multiple biochemical analysis in microfluidic devices"Analytical Chemistry. 76. 895-899 (2004)
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[Publications] Nae Yoon Lee: "Pressure-driven sample injection with quantitative liquid dispensing for on-chip electrophoresis"Analytical Sciences. 印刷中.