2004 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症におけるMT-MMPの機能解析と治療法の開発
Project/Area Number |
03J11780
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 毅治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | MMP / 糖尿病性腎症 / マクロファージ |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の初期病変では糸球体にマクロファージの浸潤が観察され、そのマクロファージが病態の形成に影響を与えていることが知られている。本研究においてマクロファージにMT1-MMPの高発現が確認されたので、マクロファージにおけるMT1-MMPの機能を遺伝子欠損マウスおよび遺伝子欠損マウスの骨髄細胞から分化させたマクロファージを用いて解析した。その結果、MT1-MMP欠損マウスにおいて炎症部位へのマクロファージの浸潤が低下していることがわかった。また骨髄細胞由来マクロファージの培養系における解析の結果、基底膜様成分のマトリゲルへの浸潤能の低下、およびトランスウェルアッセイでのケモタキシスの低下が観察された。さらにtimelapseによるケモキネシス(ランダムマイグレーション)を解析した結果、野生型に比べMT1-MMP欠損マクロファージで運動能が低下していることが明らかとなった。またMMPに対する合成阻害剤を用いた実験からマクロファージのマトリゲルへの浸潤能にはMMP活性が重要であるが、ケモタキシス能に関してはMMP活性は影響を与えないことが明らかとなり、MT1-MMP欠損マクロファージの運動能の低下がMMP活性以外のMT1-MMPの機能の欠損によることが示唆された。続いてMT1-MMP欠損マクロファージの運動能以外の機能低下がないかを解析した結果、ラテックスビーズの貪食能、およびLPS刺激応答性のTNF-alphaの産生能の低下が確認され、in vivoにおいてMT1-MMP欠損マウスではLPS腹腔投与後の血中TNF-alpha濃度の上昇に遅れを生じることが明らかとなった。以上の研究結果からMT1-MMP欠損マクロファージでは野生型に比べ様々な機能の低下が観察されることからMT1-MMPがキーモリキュールとなっていることが明らかとなった。
|