2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症におけるMT-MMPの機能解析と治療法の開発
Project/Area Number |
03J11780
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
坂本 毅治 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MMP / マクロファージ / HIF-1 |
Research Abstract |
糖尿病性腎症の初期病変では糸球体にマクロファージの浸潤が観察され、そのマクロファージが病態形成に影響することが知られている。本研究においてマクロファージにMT1-MMPの高発現が確認されたので、マクロファージにおけるMT1-MMPの機能を遺伝子欠損マウスおよびマクロファージを用いて解析を行った。 その結果、MT1-MMP欠損マウスにおいて炎症部位へのマクロファージの浸潤が低下していることがわかった。また骨髄細胞由来マクロファージの培養系における解析の結果、基底膜様成分のマトリゲルへの浸潤能の低下、およびトランスウェルアッセイでのケモタキシスの低下が観察された。この運動能の異常の原因を解析した結果、MT1-MMP欠損マクロファージにおいて解糖系によるATP産生において機能不全が見られた。 解糖系の主要分子として転写因子HIF-1aが知られているが、MT1-MMP欠損マクロファージにおいてHIF-1aの発現量は変わらなかったがHIF-1のターゲット遺伝子の発現の低下が見られた。またHEK細胞を用いた再構成系の実験により、MT1-MMPの細胞内領域がHIF-1aの転写活性を正に調節していることが明らかとなった。さらにRNAiによる解析の結果、MT1-MMPはHIF-1aの転写抑制因子であるFIH-1を介してHIF-1aの活性を調節していることが明らかとなった。 以上の結果より、マクロファージにおいてMT1-MMPは細胞外基質の分解だけでなく、エネルギーの産生系に対しても機能する重要な分子ということが明らかとなった。また、エネルギー生産系がMT1-MMPの細胞内領域によって調節されることから、既存のMMP阻害剤だけではなく、MT1-MMPの発現そのものを抑制するか細胞内領域の機能を抑制する化合物が糖尿病性腎症の悪化を促進するマクロファージの機能抑制のターゲットとなると考えられる。
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