2004 Fiscal Year Annual Research Report
心血管リモデリングに関わる転写因子KLF5の分子機能とin vivoにおける意義
Project/Area Number |
03J11786
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武田 憲文 東京大学, 医学部附属病院, 特別研究員 DC1
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Keywords | 動脈硬化 / 心肥大 / 脂肪肝 / KLF5 / PDGF |
Research Abstract |
我々の研究グループでは、生体組織の三次元構築の変化に中心的役割を果たすZn-finger型転写因子KLF5を分離同定した。KLF5遺伝子欠損マウスでは、動脈硬化病変やアンジオテンシンIIによる心臓肥大や線維化、肉芽形成、腫瘍血管新生等の反応が著明に低下していることが明らかとなった。 1.KLF5抑制薬Am80の粥状硬化・脂肪肝への作用 KLF5抑制薬Am80を粥状硬化モデルマウスApo-E欠損マウスに投与したところ、大動脈洞部および大動脈表面の粥状硬化巣を有意に抑制した。マクロファージに対する影響を検討したところ、主要なScavenger receptorsであるCD36,SR-Aの発現を抑制し、腹啌マクロファージの酸化LDL負荷後の泡沫化を抑制した。この作用は、Am80がIL-6誘導を減弱させることが一要因であることがわかった。また肥満モデルであるleptin欠損マウスへのAm80を投与したところ、脂肪肝(肝機能異常および病理)を軽減させた。Am80投与でインスリン抵抗性は改善され、gene arrayを用いた検討では、肝臓での数種のlipogenic genesの発現を低下させた。 2.PDGFR抑制薬の抗動脈硬化作用 KLF5の標的遺伝子としてPDGF-Aを同定し、これが動脈硬化や線維化に強く関与しているものと考えられる。各病態におけるPDGFの役割を再検討するため、我々はPDGF受容体拮抗薬(STI571)を用いた実験を行った。アンジオテンシンII負荷では心肥大は抑制されなかったが、間質の線維化が抑制された。またカフ障害モデルでの新生内膜形成やApoE欠損マウスでの粥状硬化モデル、DOCA-saltを用いた腎硬化モデルなどでも奏功した。既に報告のある平滑筋増殖の抑制とともに、線維芽細胞でも増殖刺激後の細胞増殖は抑制された。アポトーシス関連遺伝子(Bcl-2,Bax)の関与も観察された。 3.各組織におけるKLF5の役割の検討 平滑筋の形質転換における転写因子カスケードの検討からKLF5を分離同定したが、その欠損マウスを用いた検討から、KLF5は動脈硬化のみならず心肥大や脂肪分化にも重要な役割を有すること明らかとなった。組織特異的な欠損マウス(コンディショナルマウス)を作成した。
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Research Products
(6 results)