2004 Fiscal Year Annual Research Report
放線菌におけるA-factor制御カスケードの解明
Project/Area Number |
03J11830
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 淳也 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | A-ファクター / AdpA / 転写因子 / 自己転写抑制 / プロテアーゼ / SSI / Streptomyces / ゲノム |
Research Abstract |
本年度行った研究成果は3点挙げられる。まず、放線菌Streptomyces griseusにおけるA-ファクターカスケードの、中心的な転写活性化因子AdpAの自己転写抑制機構を明らかにした。AdpAは形態分化と二次代謝に関連する様々な遺伝子の転写を活性化することがこれまで明らかになっていたが、adpA自身の転写調節機構に関してはA-ファクター受容体ArpAによる調節のみが明らかになっているだけだった。adpA遺伝子破壊株ではadpAの転写量が増大していたことから、AdpAによる自己調節を想定して解析を進めた結果、AdpAは自身の遺伝子上流にも結合し、自身に対しては抑制的に働くことが明らかとなった。また結合様式についても解析を進め、抑制的に働く場合との関係を示した。2点目は放線菌が生産するSSI様プロテアーゼ阻害蛋白質の解析である。これについては放線菌S.coelicolor A3(2)およびS.griseusを用いて研究を行った。それぞれのホモログ蛋白質をコードする遺伝子をゲノム情報より見いだし、遺伝子破壊および転写解析を行った。その結果、両者において非常に強い転写を示し、遺伝子破壊株では分泌プロテアーゼ活性の上昇が見られた。これらの遺伝子の生理的機能として、放線菌の形態分化におけるアポトーシスの調節を想定しているが、S.coelicolor A3(2)においては遺伝子破壊株は形態分化における形質は示さなかった。S.griseusについては現在解析中であるが、S.griseusのSSI様蛋白質遺伝子はA-ファクターカスケードの制御下にあることも明らかにしており、生理的機能には非常に興味が持たれる。3点目として、前年度行っていた、AdpA標的遺伝子の二つのトリプシン型プロテアーゼ遺伝子sprTとsprUの研究をまとめ、論文誌に投稿・発表した。
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