2003 Fiscal Year Annual Research Report
嘔吐の発現における自律神経系機能の役割に関する生理学的研究
Project/Area Number |
03J11847
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
内野 雅浩 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 嘔吐 / スンクス / 圧受容器 / 化学受容器 / 頚動脈洞神経 |
Research Abstract |
嘔吐機構と呼吸・循環器系機能との関係を明らかにするために、内頸動脈結紮による圧受容器反射遮断およぴ頚動脈小体除神経による化学受容器遮断が嘔吐反応に与える影響について検討した。内頸動脈結紮により嘔吐潜時の有意な延長、特に嘔吐に先行する血圧上昇持続時間の延長がみられた。頚動脈小体除神経は、嘔吐潜時を有意に延長させ、呼吸数減少を有意に強めた。また、嘔吐反応における頚動脈洞神経電気刺激の影響について調べた。嘔吐誘発刺激を与えていない群では、頚動脈洞神経電気刺激により心拍数減少を特徴とする自律神経反射がみられたが、嘔吐は誘発されなかった。嘔吐誘発刺激存在下における頚動脈洞神経電気刺激では同様の自律神経反射がみられたのと同時に嘔吐が誘発された。以上の結果から、嘔吐発現における圧受容器反射および化学受容器反射の関与が示唆された。 呼吸・循環器系機能による嘔吐の中枢メカニズムの修飾を直接的に証明するために、電気生理学的実験および免疫組緯化学的実験を行った。電気生理学的実験は、プラチナ双極電極または微小ガラス電極を用いて、嘔吐反応における頚動脈洞神経活動を記録した。免疫組織化学的実験では、嘔吐反応における延髄のc-fosの発現を検討した。また、逆行性トレーサーであるCholera toxin β subunit(CTB)を頚動脈洞神経に注入し、蛍光抗体法により延髄における頚動脈洞神経終末の分布を調べた。さらに、CTBとc-fosの蛍光二重染色を行い、頚動脈洞神経の投射を受ける神経細胞の嘔吐反応への関与を検討した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] M.Uchino, K.Ishii, M.Kuwahara, S.Ebukuro, H.Tsubone: "Studies on mechanisms of emesis : Involvement of chemo-receptor reflex in emetic response"Respratory and Critical Care Medicine. 167・7. A546 (2003)