2005 Fiscal Year Annual Research Report
胎児中枢神経毒性の発現および修復機構に関する基礎的研究
Project/Area Number |
03J11848
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 将紀 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アポトーシス / 細胞周期停止 / p53 / 胎仔 / 細胞幹細胞 / 脳 / 中枢神経毒性 / 発生 |
Research Abstract |
5-Azacytidine(5AzC)は胎仔中枢神経毒性を有し、妊娠動物に暴露すると胎仔脳にアポトーシス、出生仔には小脳症を引き起こす。これまでの研究では、妊娠13日齢のWistar ratに5AzCを暴露すると、神経幹細胞に対して主にG1期にp53依存性のアポトーシス、p53非依存性のG2/M期停止を引き起こすことを明らかにした。 今年度はまず、神経幹細胞のエレベーター運動(interkinetic nuclear migration)において細胞周期停止に連動して核移動が遅れる事に着目し、細胞周期と核移動の関係性を探った。そのために5AzCを用いてG2/M期停止、Cyclophosphamideを用いてS期停止を引き起こし核移動の変化を観察したところ、細胞周期と核移動がいずれの細胞周期でも連動していることを明らかにした。移動を止めても細胞周期は回り続けるとの報告があることと合わせると、本研究から、細胞周期制御因子が核移動をも制御していることが示唆された。 一方、胎仔脳組織傷害後の修復期におけるメカニズムを明らかにするため、組織学的検索および細胞周期解析を行ったところ、投与60時間後には修復過程が完了することを確認した。しかしながら、脳は正常に比べ小さく、こうした変化が出生後の小脳症に結びつくと考えられた。修復期に重要な因子を検索するため、DNAマイクロアレイ解析により発現増加の見られた因子に関して、realtime-PCRにより発現解析を行ったところ、グリア細胞・炎症・細胞外基質・解糖系酵素・神経発生関連因子の発現増加が確認された。また、ミクログリア活性化に重要と思われるTNF-α、IL-1β、M-CSFの発現増加も確認した。本成果は胎児中枢神経毒性発現機序において不明であった傷害後の過程を明らかにし、発症メカニズムに新たな視点を与えると考えられる。
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Research Products
(1 results)