2005 Fiscal Year Annual Research Report
リゾホスファチジン酸産生酵素リゾホスホリパーゼDの生理学的・病理学的機能解析
Project/Area Number |
03J11859
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸 安宏 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | リゾホスホリパーゼD / リゾホスファチジルコリン / リゾホスファチジン酸 / LCAT / ホスホリパーゼA1 |
Research Abstract |
リゾホスホリパーゼD(lysoPLD)は、血中に高濃度で存在するリゾホスファチジルコリン(LPC)からリゾホスファチジン酸(LPA)を産生する酵素であり、血中でのLPA産生における重要な酵素である。血中LPC産生には、レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)や分泌型ホスホリパーゼA_2(sPLA_2)などの関与が想定されている。そこで、我々は、LPCが血漿中でどのように産生されているのかより詳細に探るために、sPLA_2を発現していないC57BL/6系統のLCAT欠損マウスやヘパリン投与ラットを用いて血漿LPCの産生機構を検討した。LCAT欠損マウスの血漿中LPC濃度は、野生型マウスよりも低いものの、37℃にて加温すると少ないながらもLPCの産生が確認され、LCAT非依存的なLPC産生機能の存在が示された。さらに、ESI-MSを用いてLPCの脂肪酸種を調べたところ、LCAT KOマウスでは不飽和LPCのみ産生された。興味深いことに、LCAT KOマウスではLPC濃度が低いものの、37℃加温時におけるLPA産生量は野生型マウスとほぼ同等であり、不飽和LPAが主に産生されてくることがわかった。また、ヘパリン投与ラットから調製した血漿においても加温によりLPC,LPA濃度は顕著に上昇し、特に不飽和LPC,不飽和LPAの増加が顕著であった。本研究から、血中LPC産生経路は複数存在することがわかった。特に、lysoPLDのよりよい基質である不飽和LPC産生におけるヘパリン結合性のホスホリパーゼA_1の重要性が示唆された。
|