2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11862
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小山 隆太 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 海馬 / 苔状繊維 / 軸索誘導 / 側頭葉てんかん / 異常発芽 / BDNF / 切片培養 / 分散培養 |
Research Abstract |
研究代表者は、ラットの脳より摘出した海馬の切片培養系及び顆粒細胞の分散培養系を利用し、正常時においては顆粒細胞の軸索である苔状繊維が発達時期依存的に異なる軸索誘導を受ける事を発見し、平成16年度中に国内学会「第19回学術集会・神経組織の成長・再生・移植研究会」及び国際学会「Pharmaceutical Sciences World Congress 2004」において発表した。 研究代表者は、側頭葉てんかんにおいて海馬の異常興奮性上昇に関与する可能性が示唆されている「苔状繊維の異常発芽」における軸索誘導メカニズムを解明するため、ラットの脳より摘出した海馬の切片培養系及び顆粒細胞の分散培養系を利用してこの検証をおこなった。その結果、脳由来神経栄養因子(BDNF)が苔状繊維の分枝を誘発する事によって異常発芽の初期段階に関与して、顆粒細胞の異常興奮性に寄与する事を発見した。また、BDNFによる分枝誘発作用が、その受容体であるTrkB受容体のドミナントネガティブ体を分散顆粒細胞に強制発現させる事によって阻害される事を確認し、これらの結果を論文に纏め、数度の改定実験を経た後、平成16年度中に国際誌「The Journal of Neuroscience」に発表した。また、この内容を平成16年度中に国内学会「第27回日本神経科学大会」及び国際シンポジウム「International Symposium on "Adult neurogenesis in normal and pathological conditions"」において発表した。本結果は、BDNFが苔状繊維の異常発芽を誘発する事をin vitroの実験系を利用して軸索誘導の観点から世界で初めて示すと共に、側頭葉てんかんにおいて発現量が上昇するBDNFの作用に関する新たな知見を与えるものである。
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Research Products
(1 results)