2003 Fiscal Year Annual Research Report
ツメガエルの細胞接着と受容体に関する分子生物学的研究
Project/Area Number |
03J11882
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
乾 雅史 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アフリカツメガエル / OMP25蛋白質 / 神経形成 |
Research Abstract |
ミトコンドリア外膜蛋白質として単離されたOMP25はツメガエルにおいて主に神経領域に発現の局在が見られ、また過剰発現することによって頭部領域に異常が見られたため、頭部及び神経形成におけるOMP25の役割を解明することを目的として研究を進めた。 Morpholino antisense oligonucleotide(MO)を用いて機能阻害を試みることとし、xenopus laevis OMP25に対するMOを設計した。卵割期のツメガエル胚にxOMP25MOを微量注入し、発生過程におけるxOMP25蛋白質の量を抑制した幼生の表現型を観察したところ、外形からは頭部構造の異常が観察された。薄切切片を作成して内部構造を観察した結果、脳、脊髄など、中枢神経系において神経組織が減少し、正常な神経管構造の形成が阻害されていることが分かった。このような表現形はxOMP25のplasmid DNA及びmRNAを共注入することで部分的にレスキューされた。これらのことから、OMP25は神経管構造の形成あるいは神経細胞の生存に関わる働きをしている可能性が考えられる。 OMP25の分子的作用機序について、アクチビンシグナルとの関連を検証した。OMP25は、アクチビン受容体と結合することが知られているARIP2と互いにスプライシングバリアントであり、その結合ドメインであるPDZドメインを共有していることから、アクチビンシグナルに関与する可能性が考えられた。しかしながら、OMP25のGST融合蛋白質を作成してアクチビン受容体との結合を検証したが、結合は観察されなかった。またアニマルキャップを用いた実験系においても、OMP25の過剰発現はアクチビン蛋白質の中胚葉誘導能に影響を与えなかった。これらの結果からOMP25はアクチビンシグナルには関与しないことが示唆された。
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