2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11883
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
今井 猛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子生物学 / 嗅覚受容体 / 軸索投射 / トランスジェニックマウス |
Research Abstract |
哺乳類の嗅覚を担う分子レベルでの実体は、約1,000種類存在する嗅覚受容体(OR)である。嗅上皮に存在する個々の嗅神経細胞は1,000種類存在するORのうち、1種類のみを発現している。また、同じ種類ののORを発現しでいる嗅神経細胞は、嗅上皮上では散在しているにも関わらず、その投射先である嗅球においては、軸索が収斂していることが知られている。本研究では、同種の嗅神経細胞が収斂する軸索投射のメカニズムの解明を試みた。特に、この過程にはOR自身が関与しているとが知られているので、ORがいかなるシグナル伝達機構によって軸索投射を制御しているのかを検討した。 まず、ORはGタンパク質共役型受容体であるので、ORがGタンパク質と共役することがOR依存的な軸索投射に必要かどうかを検討した。Gタンパク質との共役に必須なモチーフを改変したOR遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製したところ、この変異体を発現する嗅神経細胞において、ORの単一発現は保たれているにも関わらず、軸索の伸長、収斂が著しく阻害されていることが判明した。このことから、ORはGタンパク質を介し、嗅神経細胞の軸索伸長を制御していると考えられる。また、epitope-tagを施したORを発現するトランスジェニックマウスの解析結果から、ORは嗅繊毛のみならず、軸索末端にも存在することが明らかとなり、ORが軸索末端において機能している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Nakatani, H., et al.: "Developmental elimination of ectopic projection sites for the transgenic OR gene that has lost zone specificity in the olfactory epithelium"European Journal of Neuroscience. 18(9). 2425-32 (2003)