2004 Fiscal Year Annual Research Report
多様な生理機能を支えるGnRH情報伝達系の研究-コロニー形成率制御との関わり-
Project/Area Number |
03J11884
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榎本 匡宏 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | GnRH / GnRH受容体 / 細胞増殖 / 細胞骨格 / small G protein / 細胞内情報伝達 |
Research Abstract |
脊椎動物の生殖機能における中心的な制御因子であるGnRHは、近年の研究の進展により細胞の種類に依存して増殖を促進あるいは抑制する作用をもつことが示されている。しかしながら、相反する2つの作用の詳細なメカニズムは未だ明らかになっていない。本研究では、コロニー形成率測定系を用い、GnRHが細胞増殖を細胞種依存的に正、負に制御する分子機構を解明することを目的としている。 前年度の研究により、RNAiによるGnRH受容体発現のノックダウンが、相反する2つの作用におけるGnRH受容体サブタイプの機能解析に有効であることがわかった。そこで、本年度は、さらに詳細な解析を進めるために、GnRHによりコロニー形成率が上がるTSU-Pr1(ヒト前立腺癌由来)とGnRHにより下がるDU145(ヒト前立腺癌由来)の2種類の細胞株を用い、RNAiによって恒常的にGnRH受容体の各サブタイプの発現をノックダウンした細胞株を樹立した。今後、樹立した細胞株を用いて、それぞれの受容体サブタイプの役割について詳細な研究を行う予定である。 また、最近の国内外の研究成果から、GnRHは細胞増殖のみならず、細胞接着、細胞運動、細胞骨格の制御にも関わっていることが明らかになりつつある。本研究の過程でも、GnRHが細胞の移動に影響していると予想される現象が確認されたため、さらに詳細な研究を行った。その結果、「GnRHは低分子量Gタンパク質の活性化を介して、アクチン骨格の再構築を誘導し、細胞の移動に影響すること」、さらに「TSU-Pr1とDU145では活性化される低分子量Gタンパク質の種類が異なり、細胞の移動という観点でも、増殖と同様に、GnRHが正反対の作用効果を及ぼすこと」が明らかになった。今後は、GnRHによる低分子量Gタンパク質活性化の系と増殖に影響する細胞内情報伝達系との関連性を探る予定である。
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Research Products
(3 results)