2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ変異体を用いた中軸シグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
03J11900
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
寺崎 晴美 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / 中軸シグナル / 体節 / ヘッジホッグ |
Research Abstract |
脊椎動物初期胚において、中軸中胚葉である脊索は、その背側に位置する神経管と、側方に位置する体節に働きかけて、これらの組織のパターン形成を誘導すると考えられている。この過程には、脊索からの中軸シグナルと呼ばれるシグナル伝達経路が必要であり、その実体と考えられているヘッジホッグ(以下Hh)シグナルは、神経管と体節いずれのパターン形成にも重要であることが明らかにされているが、これら異なる組織で、同じ脊索からのシグナルがそれぞれどのように異なる細胞群を誘導するのか、そのシグナル伝達機構に違いはあるのか、についてはほとんど不明である。 私は、これまでの研究で、体節の形態に異常をもつと考えられているセブラフィッシュyou-type変異体群の一つ、you変異体の解析を行って、(1)中軸シグナル伝達に欠損がある可能性があること、(2)その影響が、同じ中軸シグナルの伝わる神経管よりも、体節側に限局して見られることを明らかにした。また、その後の解析により、you変異体の原因遺伝子が分泌型細胞間基質蛋白質であるScube2であること、Scube2が、Hhと拮抗して働くBmpシグナルを介して、中軸シグナルの長距離間の制御に関与していることなどが明らかになった。これに加えてさらに、体節形態形成の全体像に迫るため、前後軸に沿った体節パターン形成の機構に重要なmesp-b遺伝子に着目し、その発現制御機構を解析した。実験には、ゼブラフィッシュと並ぶモテル実験動物であり、よりトランスジェニック作成が容易なメダカを用いた。その結果、メダカmesp-b遺伝子の発現が、Tbx遺伝子、Notchシグナル、レチノイン酸シグナルなど、体節形成に関わる複数の因子によって直接あるいは間接的に制御されていることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)