2004 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア分裂の分子機構とその進化的変遷の解析
Project/Area Number |
03J11905
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西田 敬二 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア / 細胞周期 / 紡錘体 / 葉緑体 / Dynamin / シゾン / 紅藻 |
Research Abstract |
真核細胞にとってミトコンドリアはエネルギーを供給するもっとも重要なオルガネラである。ミトコンドリアは独自のゲノムを有し、分裂によってその数を増やすことが出来るため、真核細胞が分裂して増えるためにはミトコンドリアの分裂は厳密に制御されなくてはいけない。またアポトーシスにおけるミトコンドリアの断片化も分裂機構によって行われていることも示唆されている。しかしながら細胞周期とミトコンドリア分裂の相関のメカニズムはほとんど明らかではない。本研究では、オルガネラ分裂研究のモデルである原始紅藻Cyanidioschyzon merolae(シゾン)においてミトコンドリアおよび葉緑体の分裂はそれぞれ独立に細胞周期の制御下にあることを示した。シゾンの同調培養において、葉緑体の分裂はDNA合成阻害によって過剰に誘導されたが、微小管阻害あるいはプロテアソーム阻害による細胞周期停止によっては一度きりで完了した。それに対してミトコンドリアの分裂はDNA合成阻害によって抑制され、微小管阻害あるいはプロテアソーム阻害によっては一度きりおこった。同時に葉緑体あるいはミトコンドリアの分裂は微小管を必要としないことも示されたわけであるが、微小管極はミトコンドリアと結合しており微小管が束ねられて紡錘体として伸長することがミトコンドリアの分配と細胞核の分裂を同時に進行させていることも示した。さらにこれらの現象の分子レベルでの制御を明らかにすべく、すでに同定していたミトコンドリア分裂の最終段階に関わるDynaminであるDnm1の局在性の変化をみたところ、ミトコンドリア分裂面への集合はS期の間は抑制されており、G2/M移行によって強力に誘導され、微小管チェックポイント通過後に分散されることが分かった。以上の結果から、ミトコンドリア分裂の細胞周期による制御のパスウェイの存在を初めて示すことが出来た。
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Research Products
(2 results)