2003 Fiscal Year Annual Research Report
原始的染色体及び核膜の構造・機能・動態から探る真核細胞の起源
Project/Area Number |
03J11911
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
丸山 真一朗 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 原始紅藻 / 真核細胞の起源 / 染色体 / rRNA / セントロメア / テロメア |
Research Abstract |
真核生物の起源に関しては未だ謎が多く、特に宿主となる細胞の細胞核の成立の機構は全く明らかになっていない。私は原始紅藻Cyanidioschyzon merolae (以下シゾンと呼ぶ)を材料とし、比較生物学的かつ比較ゲノミクス的な方法論に則り真核生物の起源を解明することを最終目的として研究を進めてきた。 15年度の研究の間に、シゾンゲノムシーケンスプロジェクトが飛躍的に進展し、全ゲノム配列の解読がほぼ完了した(松崎ら、Nature in press)が、その成果に関しても本研究代表者の研究は非常に大きな貢献を果たした。具体的には、慶応大清水研究室との共同研究によりゲノム21倍相当のBACライブラリーを作製し、シゾンのrRNA遺伝子はゲノム中に散在しており)、コピー数が真核生物最少であることを明らかにした。さらにそれらの遺伝子はコピー間で協調進化を遂げてきたことを示した(丸山ら、投稿中)。また、このライブラリーを用い、3番染色体特異的BACクローンの単離・配列解読に成功、3番染色体にはセントロメア様反復配列が存在しないことも明らかにしただけでなく、テロメア様リピート配列を同定することに成功し、シゾンは特殊な配列を持つテロメアによって「染色体末端問題」を解決していることが示唆された(丸山ら、投稿準備中)。これは配列と機能との(共)進化を考える上で非常に重要な事例であり、今後テロメラーゼ活性の検出なども含め、染色体一次構造の詳細な構造を明らかにしていく予定である。 この他に、セントロメアに関する解析も進めており、セントロメア特異的ヒストン様タンパク質を同定し、特異的抗体を作製した。光同調という薬剤を用いない穏和な条件下で高度に同調させた細胞集団を用い、センドロメアの細胞内局在を明らかにし、セントロメアの周期依存的且つダイナミックな動態を捉えることに成功した(丸山ら、投稿中)。
|
Research Products
(1 results)