2003 Fiscal Year Annual Research Report
分岐分析の手法を用いたジュラ紀-白亜紀アンモノイド類の系統解析
Project/Area Number |
03J11914
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 由紀 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分岐分析 / アンモナイト / 系統解析 / 初期殻体 / 多系統群 |
Research Abstract |
本年度は,研究に必要な化石試料を得るために2003年7月,アメリカ合衆国モンタナ州,サウスダコタ州の上部白亜系において地質調査を行い,重要な分類群であるアンキロセラス亜目に属するスカファイテス類化石,アカントセラス超科に属するプラセンチセラス類化石数種を得た.また,カリフォルニア州における下部白亜系の地質調査も行い,アンモナイト亜目デスモセラス超科に属する多数の化石試料とフィロセラス亜目に属する数種の化石試料を得た.また2003年9月には北海道上部白亜系の地質調査を行い,多数のアンモナイト亜目に属する化石試料を得た.これらの化石試料を用いて,電子顕微鏡下で内部構造の詳細な観察,記載を行った.その結果,アンモナイト類の初期殻体における盲管の形状,連室体管の初期発生における位置変化,隔壁襟の初期発生における変化,Prosiphonの長さと形状,Accessory threadsの有無,肩側殻におけるFree periostarcal edgeの形状,Wrinkle layerの形状,隔壁間隔の長短の9つの初期発生形質が,高次分類群間で安定しており,分岐分析に利用できることがわかった.この成果は2003年にJournal of Paleontology誌に共著者と共に発表した.また,上記の9つの形質用いて分岐分析を行った結果,従来のデスモセラス超科に当たるクレード内にハプロセラス超科に属するアコネセラスが含まれ,両者が非常に近縁であることがわかった.また50%多数合意樹による解析結果を見ると,従来単系統群とされてきたフィロセラス亜目のハイポフィロセラス属アンモナイトとフィロパキセラス属アンモナイトがそれぞれ別のクレードに別れて属し,フィロセラス亜目は単純な単系統類ではないことが新たに示唆された.これらの結果は2003年8月日本進化学会福岡大会において発表を行った.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kazushige Tanabe, Neil H.Landman, Yuki Yoshioka: "Intra- and Interspecific Variation in the Early Internal Shell Features of Some Cretaceous Ammonoids"Journal of Paleontology. 77(5). 876-887 (2003)