2003 Fiscal Year Annual Research Report
ラン藻におけるフィコビリソームから光化学系Iへのエネルギー伝達機構に関する研究
Project/Area Number |
03J11919
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤森 玉輝 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ラン藻 / 光合成 / 強光応答 |
Research Abstract |
申請者のこれまでの研究によって、強光下でPsaK2がPsaK1の代わりに新たに光化学系Iに組み込まれ、強光下におけるフィコビリソームから光化学系Iへのエネルギー伝達に光化学系I複合体のPsaK2サブユニットが関与していることが明らかとなっている。これによって、ラン藻はフィコビリソームから光化学系IIだけでなく、光化学系1にもエネルギー分配を行うことができる。 まず、PsaK2依存的なフィコビリソームから光化学系Iへのエネルギー伝達が行われているかを調べた。その結果、PsaK2依存的なエネルギー伝達は弱光下では行われていなかった。これまで知られているエネルギー分配が行うことができない変異株は、弱光下のエネルギー分配に関与していたため、PsaK2依存的なエネルギー分配はこれまで知られていない新規なエネルギー分配機構であることが分かった。 次に、強光下で行われているエネルギー分配が生理的意味があるかを調べた。psaK2変異株は液体培養では強光下でも野生株と同様の生育を示すが、寒天培地上では強光下で著しく生育を阻害された。一方、弱光下では寒天培地上でも液体培養でも生育に違いは見られなかった。これらのことから強光下における寒天培地上での生育にはヱネルギー分配機構が必須であることが分かった。 強光下におけるエネルギー分配機構をさらに詳細に明らかにするために、強光下でエネルギー分配ができない変異株を取得するスクリーニングを確立した。まず、クロラムフェニコール耐性カセットによって、ランダムにラン藻の遺伝子破壊を行った。次に、弱光下で寒天培地上で野生株と同様に生育できるが、強光下で寒天培地上で生育できない株を取得する。さらに、これらの株について強光下でエネルギー分配を行うことができるかを調べる。現在、強光下でエネルギー分配を行えない変異株を1株取得している。
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