2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11920
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 明子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 嗅覚受容体 / 匂い / Gタンパク質共役型受容体 / 分子認識 / 機能解析 / 構造解析 / モデリング / ジーンターゲティング |
Research Abstract |
(1)嗅覚受容体のGタンパク質相互作用領域の解明 これまでに、嗅覚受容体mOR-EGのカルボキシ末端を欠損することで匂い応答が著しく低下することを示している。この度、このカルボキシ末端をGαiタンパク質と共役するロドプシンに入れ替えたもの、同じ嗅覚受容体ファミリーに属しGαsタンパク質に共役するmOR-EVに入れ替えたキメラ受容体を作製した。その結果、mOR-EG : EV受容体においては、野生型受容体と同程度の匂い応答を検出したのに対し、mOR-EG:Rhodopsin受容体ではGαsタンパク質を介した匂い応答が検出されなかった。以上から、嗅覚受容体のカルボキシ末端はGαsタンパク質との相互作用に関わっている領域であると考えられる。(現在、Journal of Neurochemistryに投稿中である。) (2)嗅覚受容体のリガンド結合部位の解明 嗅覚受容体のリガンド結合部位を、部位特異的変異体の親和性解析、コンピューターモデリングによるリガンド結合部位の理論計算という二つのアプローチから解析した。その結果、双方のアプローチから共通してリガンドとの相互作用が予測された5つのアミノ酸を同定した。これらのアミノ酸は、変異による匂い応答性の変化も著しく、また理論計算からもリガンドと水素結合もしくは疎水結合を形成する可能性の高いアミノ酸として算出された。次に、得られたリガンド結合状態のmOR-EGモデル構造から、リガンドの親和性に関わるアミノ酸を予測し、受容体のde novoデザインを試みた。膜貫通領域3番日のVal^<109>をAlaに変えた変異体では、リガンドであるエチルバニリンの応答性を上昇させ、一方Leuに変異した受容体では親和性が低下することが予測された。実際に変異体を作製し、匂い応答性を調べたところ、計算予測の結果と一致した。以上の結果は、モデル構築した受容体構造の精度の高さを示すと同時に、理論計算により受容体あるいはリガンドをデザイン可能なことを示している。(2003年9月、日本神経化学会でポスター発表したと同時に現在、論文投稿準備中である。) (3)嗅覚受容体ジーンターゲティングマウスの作製 これまで、嗅覚の匂い分子認識に関して、受容体レベルの解析を行ってきた。嗅覚受容体が発現している嗅神経細胞は軸策を一次中枢である糸球体へと投射させる。嗅覚の匂い認識をより高次レベルで解析するため、mOR-EGのジーンターゲティングマウスを作製した。mOR-EG-IRES-gapEGFPトランスジェニックマウスでは、mOR-EG発現嗅神経細胞の軸策の可視化に成功した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sayako Katada, Takao Nakagawa, Hiroshi Kataoka, Kazushige Touhara: "Odorant response assays for a heterologously expressed olfactory receptor"Biochemical and Biophysical Research Communications. 305. 964-969 (2003)
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[Publications] 堅田 明子, 東原 和成: "嗅覚における匂い認識の分子基盤"AROMA RESEARCH. 4. 78-83 (2003)