2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11920
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
堅田 明子 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 嗅覚受容体 / 匂い / Gタンパク質共役型受容体 / 分子認識 / コンピューターモデリング / 機能解析 / ジーンターゲティング / 嗅神経細胞 |
Research Abstract |
嗅覚受容体のリガンド結合部位の解明 研究代表者は、最近明らかとなったロドプシンの結晶構造を基に、マウス嗅覚受容体mOR-EGの三次元モデル構築を行い、匂いリガンドの結合様式をコンピューターシミュレーションした。その結果、匂い物質は受容体の膜貫通領域3、5、6番目のヘリックスで形成される空間内に結合することが明らかとなった。また、リガンドとの相互作用が予想されたアミノ酸全てに部位特異的変異を導入し、複数のリガンドに対する構造活性相関を調べた結果、匂い物質が結合している配位状態の構造を決定することができた。その結果、嗅覚受容体とリガンド間に形成される水素結合の数はわずかであり、主に複数のアミノ酸残基による疎水的な相互作用によって、匂いリガンド全体の構造を認識していることが明らかとなった。(今年度、Journal of Neuroscienceに発表した) 単一の嗅覚受容体を発現する細胞を選択的に可視化した遺伝子改変マウスの作製 これまで、研究代表者は嗅覚受容体の匂い分子認識機構に関して、主に培養細胞を用いて分子レベルで解析を行ってきた。今後、個体レベルで匂い認識機構を解析するため、また嗅覚の高次中枢における匂い情報処理機構を解析するため、特定の嗅覚受容体を発現する嗅神経細胞のみを選択的に可視化した遺伝子改変マウスの作製を試みた。研究代表者らがこれまで培養細胞系において分子レベルで解析を行ったマウス嗅覚受容体、mOR-EGを発現する嗅神経細胞を緑色蛍光タンパク質を用いて可視化したトランスジェニックマウス、およびβ-ガラクトシダーゼ遺伝子の共発現により標識したノックインマウスの作製に成功した。染色の結果、mOR-EGを発現する嗅神経細胞の軸索は左右2対の糸球体に収束することが明らかとなった。これらの遺伝子改変マウスに、mOR-EGのアゴニストとなる匂い物質;EGを用いてマウス個体レベルで刺激を行ったところ、mOR-EGの神経収束が認められる糸球体近傍の神経細胞において、神経活動に伴い発現誘導することが知られている初期応答タンパク質、c-fosの発現誘導が認められた。また、嗅覚の高次中枢であるといわれている前嗅核、梨状皮質、嗅結節においても同様に、匂い刺激に伴うc-fosタンパク質の発現誘導が認められている。(これらの成果は現在、国際学会にて発表を予定しており、また投稿準備中である。)
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Research Products
(3 results)