2003 Fiscal Year Annual Research Report
アゲハの擬態紋様形成を制御する分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
03J11923
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二橋 亮 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アゲハ / シロオビアゲハ / パターン形成遺伝子 / TH / DDC / GTP-CHI / エクダイソン / JH |
Research Abstract |
本研究はアゲハおよびシロオビアゲハを材料に、1.擬態紋様の位置決定はどのようになされているのか、2.擬態紋様の色決定はどのようになされているのか、3.ホルモンが紋様にどのような影響を与えているのか、という3つの視点から擬態の分子メカニズムにアプローチすることを目的としている。 1に関しては、アゲハでクローニングした8種のパターン形成遺伝子のうち、RT-PCRによってdpp, en, Ubxが幼虫胸部の目玉模様周辺で発現していることを確認した。今後はin situ hybridizationによって発現部位と紋様との関連を調べるとともに、シロオビアゲハ成虫の翅の紋様に関わる遺伝子の探索を引き続き行う予定である。 2に関しては、メラニン合成系に関わるTH、DDCおよびTHの補酵素でプテリジン合成にも関わるGTP-CHIの3種の酵素の発現をwhole-mount in situ hybridizationで確認した。その結果、いずれの酵素も黒色紋様に対応して発現していることが確認された。さらにTH、とDDCの発現量の比率によって、将来赤褐色の紋様になるか黒色の紋様になるのかが決定されていることも示唆された。現在これらの成果についてまとめているところである。今後はホルモンとこれらの遺伝子の関係を調べていく予定である。 3に関しては、エクダイソンおよびエクダイソン様作用のある非ステロイド性物質の投与によって黒色部形成が阻害されることを確認した。また、JHのアナログであるメソプレンとフェノキシカルブを4齢幼虫に投与することで、5齢幼虫の紋様を4齢紋様に変化させることに成功した。これらの結果はエクダイソン、JHが幼虫の模様のパターニングと色素合成に深く関わっていることを示している。今後はホルモン投与の時期・濃度を変化させて紋様に及ぼす影響をより詳細に解析して結果をまとめる予定である。
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Research Products
(1 results)