2005 Fiscal Year Annual Research Report
アゲハの擬態紋様形成を制御する分子メカニズムの解析
Project/Area Number |
03J11923
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
二橋 亮 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アゲハ / シロオビアゲハ / パターン形成遺伝子 / 色素合成遺伝子 / cDNAサブトラクション / 紋様形成 / エクジソン / JH |
Research Abstract |
本研究では、アゲハとシロオビアゲハを材料に、擬態紋様形成に関わる分子メカニズムの解析を目的としている。本年度は、昨年度に引き続き、1.cDNAサブトラクション法による紋様に関わる新規遺伝子の同定と、2.他の生物で色素合成に関わる遺伝子とアゲハの紋様との関連を解析し、さらに3.ホルモンが紋様形成に与える影響についても解析した。 1に関しては、アゲハ若齢・終齢幼虫に特異的な遺伝子として昨年度解析した計2,000クローン以上から得られた配列をまとめ、可能な限りRACE法によって全長をクローニングした結果、候補遺伝子として95種の遺伝子が得られた。それぞれの遺伝子について、RT-PCRおよびin situ hybridizationによって、その発現パターンを網羅的に解析したところ、終齢幼虫の緑色部と発現部位・時期が一致する新規遺伝子(既知の蛋白質と相同性がない)や、大小のイボ状突起に関わる9種のクチクラ蛋白質を新たに発見した。また、シロオビアゲハについても、サブトラクション法を用いて♀多型間で遺伝子発現を比較検討した。 2に関しては、皮膚の培養系を確立させ、昨年度に発現解析を行ったメラニン合成に関わる遺伝子TH, DDC, ebonyと紋様との関連をまとめて、論文(Futahashi and Fujiwara,2005)にて報告した。また、GTPCHIのisoform特異的な役割についても今年度新たにまとめ、別の論文(Futahashi and Fujiwara,2006)にて報告した。 3に関しては、個体を用いてエクジソンによる局所的な影響を評価する系を確立し、エクジソンのパルスが色素合成に関わる遺伝子の発現誘導に関わることを個体レベルで証明した。
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Research Products
(3 results)