2003 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスの病徴発現に関わるPTGSのメカニズム
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03J11924
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 修一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 病原性因子 / 遺伝子発現 / RNA |
Research Abstract |
青森県においてユリに発生したウイルスの感染植物から、病原性の異なるウイルス6分離株(Li1,2,3,4,5,6)を単離した。ウイルス分離株の単離は、Tetragonia expansaを用いた単病斑分離を繰り返すことで行った。これらの各分離株のNicotiana benthamianaおよびChenopodium quinoaにおける病徴を解析した。 各分離株の感染葉からウイルス粒子を精製し、ゲノムRNAの抽出、ゲノムcDNAの合成を行い、プラスミドベクターにクローニングを行った後、ショットガン・シークエンスによりウイルスゲノムRNAの全塩基配列を決定した。その結果、これらの6分離株間の塩基配列の相同性は、ゲノム全体で99.5%以上と非常に高いことが判明し、これらは同一種のウイルスであることを明らかにした。すべての分離株のゲノムRNAには5つのopen reading frame (ORF)が存在し、そのORF構造はポテックスウイルス属ウイルスに特徴的であった。また、これらのORF中にはメチルトランスフェラーゼドメイン、MTP結合ドメイン、RdRpドメイン、GKSモチーフ、YRDGモチーフ、AFDFモチーフ等の保存ドメイン・モチーフが存在することを確認した。 これらの分離株の塩基配列とポテックスウイルス属ウイルスの既報の塩基配列との相同性解析を行い、ロシアでPlantago asiaticaにおいて発生が確認されているポテックスウイルス属ウイルスのオオバコモザイクウイルスと78%と高い相同性を示すことを確認した.ポテックスウイルスの種および系統のボーダーラインの基準がら判断することで、今回単離したウイルス分離株が、本邦でこれまでに発生が確認されていないオオバコモザイクウイルスであることを明らかにした。
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