2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスの病徴発現に関わるPTGSのメカニズム
Project/Area Number |
03J11924
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 修一郎 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ウイルス / PTGS / 病徴発現 |
Research Abstract |
植物ウイルスは植物に感染すると特異的な病徴を引き起こし、種々の農作物に収量低下などの深刻な被害を引き起こす。最近になって、植物のウイルスに対する防御機構としてpost transcriptional gene silencing(PTGS)の関与が示唆されているが、その分子機構は未だ体系的に理解されていない。ポテックスウイルスは多くの植物に甚大な被害を与えており、その病原性発現の分子機購を解明することは植物病理学上重要である。そこで、本研究では、病原性の異なるポテックスウイルスを内外より蒐集し、それらを宿主特異性および病原型に基づいて類型化した後、全ゲノム解析や感染性cDNAクローンの作出を行う。さらに、病徴の発現とPTGSの分子機構がどのように関与しているかを解明することで、その制御技術を確立し耐病性分子育種の基盤的知見を得ることを目的とする。 本研究では、すでに日本各地より新たなポテックスウイルスの各系統を蒐集した。さらに蒐集したウイルスを検定植物へ接種することによりその感染性や病徴について詳細な解析を行い、塩基配列情報が報告されていない系統に関しては全長配列を決定した。また、その中でも壊死やモザイクといった特徴的な病徴を呈するウイルス系統に関して感染性cDNAクローンを作出し、これらの病原型の異なる系統間でキメラウイルスを作出し、病徴型との関連を比較・解析することでウイルス側の病徴決定部位の探索を行った。その結果、複製酵素の1アミノ酸が植物体の壊死を決定していることを突き止め、現在PTGSの関与について詳細な解析を進めているところである。
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