2003 Fiscal Year Annual Research Report
RNA修飾異常に起因する疾患の探索とその分子機構の解明
Project/Area Number |
03J11927
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
桐野 陽平 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミトコンドリア病 / tRNA / 転写後修飾 / コドン-アンチコドン相互作用 / ミトコンドリア / タウリン / 分子生物学 |
Research Abstract |
ミトコンドリア病の代表病型であるMELASは、ミトコンドリア(mt)DNA上のtRNA^<Leu(UUR)>遺伝子内の点変異が原因でミトコンドリアの機能が低下し、エネルギー消費の激しい脳や筋肉に障害がでる遺伝病である。私は現在までの実験で、MELASの変異tRNA^<Leu(UUR)>におけるアンチコドン1字目のタウリン修飾欠損が翻訳能の低下をもたらし、この疾患の直接の原因になっていることを明らかにした。MELASはRNA修飾欠損が疾患原因である初めての例であるが、機能性RNAがタンパク質と同様に生命活動に重要な役割を果たすことを考えると、RNAの質的変化が引き起こす疾患が他に数多く存在する可能性は大きい。本研究ではプライマー伸長法を応用し、超微量の全RNA画分におけるRNA修飾変動の解析方法を確立した。実際のミトコンドリア病患者組織から抽出したRNAにおいてその方法を用いることにより、既に見出されていた2種類に加え、新たに3種類の疾患に関連する変異mt tRNAL^<Leu(UUR)>において、アンチコドン1字目のタウリン修飾が欠損していることを見出した。また、ミトコンドリア病モデル細胞の解析によりmt tRNA^<Leu(UUR)>のみならず、疾患に関連する点変異を持つmt tRNA^<Glu>、mt tRNA^<Trp>におけるアンチコドン1字目のタウリン修飾欠損を新たに発見した。更にこれらの変異tRNAは修飾欠損のためにコドン認識が拡張し、本来翻訳をしないコドンを誤翻訳するという現象を見出し、gain of function型の新しい分子機構で疾患が引き起こされていることを示した。
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Research Products
(1 results)