2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11935
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
影山 俊一郎 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 初期発生 / 遺伝子発現 / 転写因子 |
Research Abstract |
現在までに受精卵での遺伝子発現制御機構が未解明である最大の原因は、受精卵には大量の母性由来mRNAが蓄積されており、これが受精卵で新しく転写される遺伝子を解析することを困難なものとし、受精卵で発現する遺伝子がほとんど明らかにされていなかったことが挙げられる。本研究では受精卵で新生されるRNAのみを単離し、同定することで受精卵での遺伝子発現制御について考察することを試みた。新生されるRNAのみを単離するため、以下のような手法を考案した。(1)受精後の初期胚にBrUTPを加え、(2)合成途中のmRNAに取り込ませることにより新生mRNAをBrUで標識する。(3)初期胚から全RNAを回収後、(4)抗BrU抗体を用いた免疫沈降法によって新生されたmRNAのみを単離し、(5)それを解析することにより受精後の遺伝子発現プロファイルを決定する(図4a)。 以上の手法を用いて受精卵で新生される遺伝子を単離し、マイクロアレイを用いて同定し、新たに54の遺伝子が受精卵で発現されることが確認された。 次にここで同定された遺伝子の発現制御領域について解析した結果、Pax,Etsファミリーに属する転写因子により発現が制御される領域が多く確認できた(図4b)。特にEtsファミリー転写因子は先の実験により受精卵で発現が増大することが確認された転写因子でありこの時期の遺伝子発現に関わることが強く示唆された。 最後にRNAiによる遺伝子発現抑制実験を行い実際にこれらの転写因子が受精卵で重要な役割を担っていることを明らかにした。
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