2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11942
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
海老原 淳 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | コケシノブ科 / 種分化 / シダ植物 / 着生 |
Research Abstract |
1)非着生種の種分化様式-独立配偶体の果たす役割 昨年度に引き続き非着生種(岩上生種)の種分化の例として日本産のハイホラゴケ群を材料として用いた研究を行った。分布域を網羅する徹底したサンプリングに基づく解析を行った結果、現在の遺伝的変異・倍数性の分布パターンを胞子体の分布から説明することは困難であり、本群の種分化には配偶体が関与している可能性が高いことが示唆された。そこで、独立配偶体(胞子体の分布域の外側に分布する配偶体)の探索を行ったが、これまでに数地点から独立配偶体の存在の可能性を示唆する分子データが得られている。 2)複数の遺伝子領域を用いた系統解析 着生種と非着生種間での種分化速度の差異が、rbcL遺伝子の不均一な進化速度に由来するアーティファクトでないことを証明するため、葉緑体rps4-trnS領域を用いた予備的な系統解析を行ったが、結果はrbcL遺伝子によるものと同様であり、着生種と非着生種間で確かに種分化速度の差異の傾向が存在することが示唆された。 3)網状進化とgrowth form コケシノブ科の多くの群は群内では均質なgrowth formを示すが、例外的に属内に着生種(hemi-epiphyte)と非着生種(岩上生/地上生)とが混在するVandenboschia属をモデルに用い、growth formの進化の過程を探った。葉緑体rbcL遺伝子に基づく系統樹ではgrowth formと系統に明確な相関が見出されなかったが、核GapCpイントロンを用いた解析では、用いた材料の多くが雑種起源の倍数体であり、複雑な網状進化が起きていることが示唆された。着生種の関わった雑種起源の系統は必ず着生のgrowth formを示すという興味深い結果が得られている。
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Research Products
(1 results)