2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11952
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
野口 泰基 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 言語 / 脳機能イメージング / 脳磁図(MEG) / 経頭蓋的磁気刺激(TMS) |
Research Abstract |
本研究課題では人の言語能力を司る脳のメカニズムを、特に脳磁図(MEG)や経頭蓋的磁気刺激(TMS)といった時間分解能に優れた手法によって明らかにすることを目的としてきた。そして今年度は、言語研究への応用が比較的遅れている上記の手法の信頼性・妥当性を確保するため、MEGにおいては言語処理に関わる脳活動の場所(空間情報)を特定するための手法、TMSではその脳への生理学的影響の検討など、メソッド面の確立に重点を置いた研究を行った。 その結果、まず前者では特殊な言語刺激の提示法を用いることによって、高次視覚領域のみに対象を絞った脳活動計測が可能になることを発見した。通常の視覚性言語刺激は輝度の変化によって提示されるが、この手法ではランダムドットの静止領域と運動領域のコントラストによって刺激を表現する。結果、広く視覚一般に関わる低次視覚野の活動が脳磁図の信号に混入するのを抑え、言語に関係の深い高次視覚野の反応のみを検出することが出来る。最新型である全頭型MEGでこの手法の有効性が認められたことで、言語や記憶等、高次の認知機能においては信号源の場所の特定が難しくなるというMEGの弱点を補完できる方法論が確立した。今後の言語研究への応用が期待される。 TMSについては、刺激された脳の部位の反応を他のイメージング手法で計測すること(同時計測)によって、磁気刺激の生理学的影響を調べた。従来これらの同時計測は、イメージング機器とTMSの磁気特性との干渉などの技術的制約のため非常に困難であったが、本研究ではそれらの制約を受けない近赤外スペクトロスコピーという方法を用いてこの問題に対処した。結果、磁気刺激直下の部位での脳活動の賦活パターンを詳細に捉えることに成功した。未解明の点が多かった単発TMSの影響をリアルタイムで調べた研究は従来無く、今後認知機能を対象とする上での基礎となる知見が得られた。
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[Publications] Noguchi Y., Watanabe E., Sakai K.L.: "An event-related optical topography study of cortical activation induced by single-pulse transcranial magnetic stimulation"NeuroImage. 19(1). 156-162 (2003)