2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J11952
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Research Institution | The Graduate University for Advanced Studies |
Principal Investigator |
野口 泰基 総合研究大学院大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 脳機能イメージング / 言語 / 脳磁図(MEG) / 経頭蓋的磁気刺激(TMS) / 文字認知 |
Research Abstract |
本研究課題では人の言語能力を司る脳の仕組みを、特に脳磁図や経頭蓋的磁気刺激といった時間分解能に優れた手法によって解明することを目的としてきた。今年度は採用2年目ということで、言語処理、特にその基礎となる文字の認知についての研究を中心に行った。 文字を認知するという行為には、いくつもの認知的なプロセスが関与する。まず提示された文字の形状を分析し、頭の中にある文字の記憶との照合を行った後、初めてその文字が何であるかを同定することができる。このように様々な処理を要する視覚刺激の認知は、脳の中の高次視覚野という場所で行われている。言語や文字の認知を研究するにはまずこの領域を調べなければならないが、1つ問題になることは、この高次視覚野は文字以外の視覚刺激の処理にも関与しているということである。例えば動いている物体を検知する運動視(visual motion perception)などもこの領域で行われることが知られており、文字認知のメカニズムを詳細に理解するためには、高次視覚野内部のマッピングを行わなければならない。言い換えれば、高次視覚野内のどの部分が文字認知に関わり、どの部分が運動知覚に関わっているのかを調べて両者を切り分けることが、文字認知の研究の出発点となる。 そこで本年度は、運動知覚・文字認知に関わる脳部位をそれぞれ同定するための2つの実験を行った。その結果、前者に関係するのは高次視覚野の中のsuperior temporal regionと呼ばれる部位にあることを発見した。対して後者に関する部位はそれよりも下(ventral)側にあることが2つ目の実験によって確認された。特に2つ目の実験ではneural adaptationという文字認知独特の現象を脳磁図の優れた時間分解能を利用して観察し、従来未解明だったヒトの言語処理の時間的側面を検討することに成功した。
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Research Products
(2 results)