2004 Fiscal Year Annual Research Report
アゾール架橋白金二核錯体の物理化学的性質及び生体高分子との相互作用に関する研究
Project/Area Number |
03J11970
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
米田 誠治 大阪薬科大学, 薬学部, 特別研究員
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Keywords | 白金錯体 / 抗癌剤 / 薬物耐性 / DNA / アポトーシス / シスプラチン / NMR / X線結晶解析 |
Research Abstract |
本年度は制癌活性を有する白金(II)二核錯体〔{cis-Pt(NH_3)_2}_2(μ-OH)(μ-pyrazolato)](NO_3)_2(AMPZ)及び〔{cis-Pt(NH_3)_2}_2(μ-OH)(μ-1,2,3-triazolato)](NO_3)_2(AMTA)のDNAとの共有結合性及び非共有結合性相互作用についてX線結晶解析法を用いて検討を行った。自己相補型DNA[d(CGCGAATTCGCG)]_2と白金錯体の濃度比が1:1及び1:2になるように共結晶化を行い.得られた単結晶のX線回折を測定した。得られた回折の解像度は1.0-2.0Åと非常に高く、精細な電子密度図を作製することができた。三次元構造解析を行った結果、濃度比1:1で共結晶化した場合、結晶格子中のDNA1分子に対して1分子の白金錯体(AMPZ及びAMTA)が非共有結合性相互作用を介したDNAマイナーグルーブ結合を形成していることが確認され、その他の部位における相互作用は観測されなかった。また、濃度比1:2で共結晶化を行った場合、1分子のDNAに対して2分子の白金錯体の存在が確認された。AMPZは1つの分子が前述のマイナーグルーブ結合を形成し、もう1つの分子がグアニン塩基と共有(配位)結合を形成していた。一方、AMTAは2つの分子が異なるグアニン塩基とそれぞれ共有(配位)結合を形成していることが確認された。そして、グアニン塩基に共有結合したAMTAにおいて非常に珍しい異性化反応が進行するという直接的な証拠が得られた。つまり、従来は1,2,3-triazolato架橋の2位の窒素原子に結合している白金原子が3位の窒素原子に結合しているのが明らかに観測できた。
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Research Products
(1 results)