2005 Fiscal Year Annual Research Report
東西赤道太平洋海底コアのバイオマーカー・同位体地球化学プロキシーによる古気候復元
Project/Area Number |
03J50041
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
堀川 恵司 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 古海洋変動 / 東赤道太平洋 / 安定同位体 / 海底堆積物 / 基礎生産 |
Research Abstract |
東赤道太平洋で採取した海底堆積物の解析によって,以下の古環境学的知見を得た. 1.表層堆積物の窒素同位体比の分布は,赤道で最も軽く(7‰),南北に行くに従い徐々に値が増加することがわかった.これは,赤道湧昇によって表層に栄養塩が供給され,南北に移流する際に,植物プランクトンが同位体分別を起こし選択的に軽い硝酸を使っているためと解釈された. 2.赤道サイトと北緯4度のピストンコアサイトの過去15万年間の窒素同位体比変動は,異なる変動で特徴づけられた.これは,それぞれのサイトにおける硝酸の供給源が違う事が原因だと思われる.北緯4度のサイトでは,北から(メキシコ-ガテマラ沖)の脱窒起源の硝酸の供給があり,赤道のHY06サイトでは赤道潜流の軽い窒素同位体比を持つ硝酸と南赤道海流のペルー沖起源の硝酸が供給源となっている, 3.3サイトの古水温結果と既存の古水温データから,約2万年の周期性を持つ歳差日射量変動が,東赤道太平洋ITCZ位置の南北変動に影響を及ぼし,東赤道太平洋の水温分布に影響を与えていることが明らかになった, 4.ハプト藻の生産増加が氷期に繰り返し見られ,日射量変動に対応する約2万年の周期性を持っている, 5.ケイ藻は4万年相当の長い周期性を持ち間氷期に増加する,しかしTOCの増加にはあまり寄与しない, 6.10万年周期の最温暖期に脱窒が最も強化されている.そのような最温暖期には,生産の指標である有機炭素量・アルケノン含有量ともに大きく減少していた.一つの可能性として,脱窒が強化することによって中層の硝酸量が減少し,周辺海域の生産の低下を引き起こしていた可能性が指摘された.
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Research Products
(1 results)