2003 Fiscal Year Annual Research Report
ウシ卵胞の成長と閉鎖に伴うβ2-GlcNAcトランスフェラーゼI活性の消長の解析
Project/Area Number |
03J50051
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
野崎 浩文 岩手大学, 大学院・連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | β2-N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI) / 優性卵胞 / 閉鎖卵胞 / 卵胞液 / ウシ |
Research Abstract |
糖タンパク質N-型糖鎖の高マンノース型糖鎖からハイブリッド型もしくは複合型糖鎖への改変の最初の段階を司るN-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼI(GnTI)をほ乳類の卵胞液から初めて検出した。以下に示す生化学的特徴は、ウシ優性卵胞の卵胞液をプールしたものを供試料として決定した。 GnTI活性の至適pHは5.8であった。本酵素活性はCo^<2+>>Mn^<2+>>Mg^<2+>の順でこれらの二価金属イオンに要求性を示したが、Cd^<2+>、Zn^<2+>、Ca^<2+>には示さなかった。生理的基質類似体であるα2-3α1-6マンノペンタオースに対するKmは2.17mMであった。本酵素はα1-3α1-6マンノペンタオース>α1-3α1-6マンノトリオース>α1-3マンノビオースの順に親和性を有し、α1-6マンノビオースを基質として認識しなかった。これらの結果から反応至適条件を設定し、以下の実験を行った。 と場にてホルスタイン牛より卵巣を採取し、その卵胞(>8mm)から卵胞液を採取した。それら採取した卵胞液をプールせず、各卵胞液中のエストロゲン(E_2)とプロゲステロン(P_4)濃度をELISAにて測定し、E_2/P_4比が>1の場合は優性卵胞の卵胞液、<1の場合は閉鎖卵胞の卵胞液とした。小さい卵胞(2-6mm)から採取した卵胞液はプールした後、同様にホルモン濃度を測定し供試料とした。閉鎖卵胞(>8mm)の卵胞液中GnTI活性は、優性卵胞(>8mm)の卵胞液中よりも有意に高かった(P<0.01)。これら閉鎖卵胞の卵胞液中GnTI活性と卵胞直径の間には相関関係はなかった。更に優性卵胞の卵胞液中GnTI活性に対するLHサージの影響を調査すべく、当大学フィールド科学センターのウシにホルモン処理を施して性周期をコントロールした後、超音波スキャナーを用いて直接生体よりLHサージ前後の優性卵胞から卵胞液をそれぞれ採取した。 その結果、優性卵胞の卵胞液中GnTI活性はLHサージによる影響を受けないことが判明した。また全蛋白質濃度をLowry法にて測定したところ、全試料を通じ4.3+/-0.1%と有意な変化は見られなかった。
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