2004 Fiscal Year Annual Research Report
低次元量子スピン系銅酸化物におけるマグノン熱伝導と磁気秩序
Project/Area Number |
03J50081
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
川股 隆行 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低次元物質 / 量子スピン系 / 単結晶育成 / 磁気秩序 / 熱伝導 / 輸送特性 / マグノン |
Research Abstract |
1、La_2Cu_2O_5・La_8Cu_7O_<19>の単結晶育成 溶媒移動型浮遊帯域溶融法(TSFZ法)を用いて、LaサイトにEuを少量部分置換したLa_8Cu_7O_<19>の大型単結晶の育成に成功した。5本足梯子系La_8Cu_7O_<19>の大型単結晶が育成されたのは初めてである。育成された単結晶試料は、粉末X線回折、背面Laue法、ICPよりEuが約2%部分置換されたLa_8Cu_7O_<19>の単結晶あることを確認した。単結晶育成は、原料の組成比が(La,Eu):Cu=2:2、溶媒の組成比が(La,Eu)=Cu=1:9とし、高圧酸素雰囲気中で行った。育成直後の試料は、表面にCuOが析出し、内部にLa_8Cu_7O_<19>単結晶が育成していた。このように表面にCuOが析出したことは、溶媒組成がLa_8Cu_7O_<19>の育成に最適な条件であったため、余ったCuOが表面に析出したためと考えることができる。この結果から溶媒の濃度を調整することでLa_2Cu_2O_5・La_8Cu_7O_<19>単結晶育成が可能であることが分かった。 2、CuB2O4の単結晶育成 高圧力下の酸素雰囲気中で浮遊帯域溶融法(FZ法)によって単結晶の育成を行った。育成中はBの蒸発が激しいため、溶融部分を狭く、育成速度を大きくして、さらに、蒸発したBを補うためB_2O_3を過剰に入れて行う必要性がることが分かった。また、フラックス法によっても単結晶の育成を行った。しかし、アモルファスとなってしまい単結晶育成には到らなかった。 3、零磁場熱伝導測定装置の作製 リード線からの熱の流出を少なくするため装置の修正をおこない、標準試料としてステンレスを測定した結果、約200K以下は正しく測定できるようになった。修正した点は、リード線を熱浴でアンカーし、さらに、アンカーまでを熱伝導の悪いマンガニン線(直径0.1mm)を60cm程度に延長した。
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