2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50111
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
嶽石 美和子 秋田大学, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 飲酒 / 肝細胞傷害 / 量-影響関係 / 臨界濃度 / アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ / アラニンアミノトランスフェラーゼ / Y-グルタミルトランスフェラーゼ |
Research Abstract |
ヒトにおいて臓器障害を引き起こし始めるアルコールの臨界濃度を推定することを目的とした。秋田県内全域に店舗のある某販売会社に勤務する男性従業員3,400名を対象とし、自記式質問紙により飲酒量を調査した。影響指標として職域定期健康診断における肝酵素測定結果(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、AST;アラニンアミノトランスフェラーゼ、ALT;γ-グルタミルトランスフェラーゼ、GGT)を使用した。質問紙の回答が得られた1,244名のうち、職域定期健康診断を受診しなかった者、アンケートの記述に不備があった者、虚血性心疾患・慢性腎不全・アルコール依存症・肝硬変・肝癌の既往があった者を除外した1,113名を解析対象者とした。100%エタノール換算値として算出した推定飲酒量と肝酵素との間に有意な正の関連がみられ、さらに交絡因子と考えられる年齢・BMI・喫煙を考慮してもこの関連は有意だった。アルコールの臨界濃度はbenchmark dose(BMD)法を用いて推定した。交絡因子を調整した上での肝酵素に対するアルコールのBMDはASTで453g/週、ALTで983g/週、GGTで290g/週だった。BMDの95%信頼下限値であるBMDL(閾値に相当)はASTで362g/週、ALTで660g/週、GGTで252g/週だった。肝細胞傷害の指標として逸脱酵素であるASTとALTが考えられるが、ALTは今回検討した肝酵素の中でBMDが最も高く、BMIなど他の因子による影響が大きいと考えられた。したがって、ASTを肝細胞傷害の指標と考えると、日本人男性の肝臓に影響が現れ始める飲酒量は1日当たり50g前後であると推定された。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Dakeishi M, et al.: "Effects of alcohol consumption on hepatocellular injury in Japanese men."The Tohoku Journal of Experimental Medicine. 202. 31-39 (2004)
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[Publications] 嶽石美和子 他: "仏壇製造に従事する女性労働者における有機溶剤曝露による自律神経機能への影響"産業衛生学雑誌. 45. 194-196 (2003)