2004 Fiscal Year Annual Research Report
高脂血症治療薬フィブラートによるコレステロール逆転送系分子機構の解析
Project/Area Number |
03J50181
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 俊行 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CLAMP / SR-BI / HDL / コレステロール逆転送系 / グルカゴン / PDZ |
Research Abstract |
コレステロール逆転送系においてSR-BIは肝臓でHDLからコレステロールを受け取る主要な受容体として注目されている。我々はSR-BIのC末端細胞質ドメインに結合する蛋白質を見出し、CLAMPと命名した。CLAMPはPDZドメインを4つ持ち、最もN末端側のPDZドメインを介してSR-BIと結合する。これまでにCLAMPがSR-BI蛋白質の発現量およびコレステロールの選択的取り込みを増加させること、また高脂血症治療薬の一つであるPPARαアゴニストのフィブラート系薬剤により、SR-BI及びCLAMPの発現を著しく低下させることを我々は明らかにしている。そこでCALMPによるSR-BI発現安定化機構を明らかにする目的で、種々の検討を行ったところ、SR-BIの発現安定化作用にはSR-BIと結合するCLAMPのN末端側PDZドメイン以外に、CLAMPのC末端側の領域が必要であること、C末端領域に存在するセリン残基のリン酸化がSR-BIの発現安定化作用に関与することを昨年度までに見出した。本年度は、まずCLAMPをリン酸化するキナーゼの同定を行った。その結果、CALMPのC末端領域のセリン残基はPKAによりリン酸化されることが明らかになった。さらにPKAを活性化させることが知られているグルカゴンをラットに投与すると肝臓SR-BI発現量、リン酸化CLAMP量ともに増加することを見出した。グルカゴンは血中HDLコレステロール量を低下させることが知られているが、この作用はCLAMPのリン酸化亢進によるSR-BI発現の増加によるものであることが示唆された。今後、CLAMPのリン酸化によるSR-BI蛋白質発現の制御機構のさらなる解析を行い、HDL代謝の新たな分子機構を解明し、フィブラート系薬剤、その他薬剤の作用機序、及び医薬品開発の新たな標的を見つけていくことを目標としている。
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