2004 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ秒時間分解XAFS及び第一原理分子動力学法による触媒表面反応の機構解明
Project/Area Number |
03J50191
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷池 俊明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 第一原理計算 / 触媒 / 反応機構 / Co / ガンマアルミナ / NO / CO |
Research Abstract |
高活性Co_2/Al_2O_3触媒におけるNO-CO反応では、反応条件下で表面上に観測されないCO分子によってNO吸着量が増加し、2NO+CO→N_2O+CO_2反応が高活性で進行する。この新規現象のポイントは、表面への吸着力が非常に弱いspectator分子が反応物の吸着状態や反応活性を大きく変化させることである。本研究の目的は、実験的には解明が困難であるCO分子の役割や反応パスの全容を第一原理計算により明らかにすることである。 全ての計算はプログラムDMol3で行い、手法には密度汎関数法のGGAを、基底関数にはECP, DNPを使用した。Coを含む系ではスピン分極を考慮し、表面モデルはスラブ法により構築した。 下地となるγ-Al_2O_3バルクはO_hサイトに均一に分散したカチオン空孔を持つdefect-spinel型の構造を取り、そのγ-Al_2O_3(110)表面はAl_3O_4,Al_2O_4の組成を持つ層を露出し易い。本研究では、得られた担体表面上にCoダイマーを以下の2通りの方法で固定化し、 CO, NOを導入した。(1)表面水酸基との交換反応により構築したCo_2/Al_2O_3触媒モデルでは、Co^<2+>が電子過剰な低スピン状態を取り易く、COを過剰に結合してしまう(吸着Eは約2eV)。(2)表面AlとCo+Hの置換によってCoダイマーを固定化した場合、CoはO_h, T_dという2つの配向を取り得る。Co^<2+>(O_h)は(1)の場合と同様に呈すピン状態を取り、COの吸着Eを大きく見積もってしまう。一方、Co(T_d)は高スピン状態を取り、COの吸着Eは約1eVと他のモデルに比べれば実験値に近い。本モデルにおけるCoはO_sによる3配位で、Coダイマーの空き軌道が互いに向き合った配向を取るため、2NOとCOが隣り合うCoに共吸着することにより、2NOの吸着状態の変化やN_2O+CO_2反応の進行が期待できる。
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Research Products
(3 results)