2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
03J50241
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
秋山 茂幸 東京大学, 大学院・人文社会研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 精神分析 / 死生学 / 教育学 / 人間学 |
Research Abstract |
本年度は、設定した研究課題のための基礎地盤固め作業を進めてきました。特に、教育学、死生学、精神分析という三つの領塚・方法の交差点にあたる場所での思考がとりうる形に関して模索してきました。 まず、教育学と死生学については、これまでデス・エデュケーションという形で「死を教える」という営為の分析が主に取り上げられてきましたが、さらに広い視野から両者が互いにインパクトを受け取り合うことが可能であるという見通しを立てています。例えば、発達段階論・人間形成論と死との関係、フーコーの生権力論を軸とした教育学と死生学とのつながり、養生としての教育などといった視点を取り入れ、これまでの議論の地平の拡大・深化を図りました。 さらに精神分析の視角をここに導入することによって、より考察を深めています。例えば、エディプス・コンプレックス論が示す人が大人になる過程での「父親殺し」という課題(フロイト、ラカン)、子どもが幻想の中で破壊・殺害した親を修復し補償することで大人になっていくという考察(クライン)、人が生を授かる瞬間に被る出産外傷という心の傷の問題(ランク)などが考察の対象であり、かつ糸口として挙げられます。 総じて、人が育てられ育ってゆく中で、生と死の問題がいかに浮上してくるかについて、精神分析の洞察を取り入れることで明らかになってくる問題を解き分けるための大まかな道筋を切り開き、その全体像を把握するための見取りを作製することで、今後の研究のためのグランド・プランを立てることに本年度は費やされました。
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