Research Abstract |
砂漠等未利用地域における大規模太陽光発電システムを用いた緑化・農業技術開発により,エネルギー問題・食糧危機・多種多様性の喪失などの世界規模の問題を解決しうる可能性を調査することを目的とし,最適な構成をLCA手法より評価し,様々な地域を想定した持続可能なコミュニティを創造・提案する。 コミュニティを構成する部分のうち,本研究では太陽光発電システムを担当している。現在までに,平板固定架台,一軸追尾架台,また,多結晶シリコンモジュール,アモルファスシリコンモジュールについて,コスト,エネルギーペイバックタイム,二酸化炭素排出原単位を算出している。本年度はさらに,砂漠の温度条件などによる太陽光発電システムの特性を経済的な面から定量的に評価した。多結晶シリコンモジュールは気温が低い条件で効率が高く,アモルファスシリコンモジュールは高い気温でも効率が下がりにくいという特性を持っている。これを利用すると,サハラ砂漠のような高温の砂漠においては,効率がやや低いアモルファスシリコンモジュールでも有効であることが分かった。この結果は,米国デンバー市にて開催された第8回世界再生可能エネルギー会議にて口頭発表を行った。 また,砂漠地域を想定しているため,送電損失の推定は重要である。太陽光発電システムは一日のうちで出力が変動するため,詳細な送電損失を算出するためには砂漠地域の詳細な日射データを入手する必要があるが,データの入手は困難である。しかし,それを補う手法を作成し,世界の砂漠における送電損失を算出した。結果,集電損失は発電電力量に対し2-3%,送電損失は2-4%と算出した。この結果は,第31回米国電気電子学会太陽光発電専門家会議にてポスター発表を行った。
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