2005 Fiscal Year Annual Research Report
RNAポリメラーゼIIによる転写伸長反応を制御する因子群の機能解析
Project/Area Number |
03J50311
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
遠藤 正紀 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 転写伸長因子 / 転写伸長反応 / 試験管内転写再構成系 / ヒトSpt6 / 一時停止 / 分子スイッチ / 精子形成 |
Research Abstract |
当研究室では新規転写伸長因子DSIFとNELFを精製・同定し、両因子が協調的に転写伸長反応の一時停止を誘導することを報告した。さらに、伸長因子P-TEFbによるRNAPIIのリン酸化を分子スイッチとして伸長反応が再開するモデルを提唱した。しかし伸長反応の再開、即ち一時停止を境にした初期から後期への移行に関わる因子や、その分子メカニズムに関しては未だに不明な点が多い。そこで本研究では、伸長反応の一時停止と再開に関わる因子群の同定と解析を通して、新たな転写伸長制御機構の解明を目的とした。 本研究では新規因子の評価系として、精製RNAポリメラーゼII(RNAPII)と鋳型DNAのみから構成される試験管内再構成転写系を新規に構築した。一時停止の誘導にDSIFとNELFだけで必要十分であることは本評価系でも再現した。また、その再開にP-TEFbだけでは不十分であることも再現した。本研究では再開に関わる新規因子として、当研究室を含めた様々なグループの報告やデータベースの情報からヒトSpt6(hSpt6)に注目した。hSpt6を本評価系で解析したところ、hSpt6は一時停止の誘導には関与しないが、P-TEFbのリン酸化活性依存的に再開を誘導することを明らかにした。また、変異型hSpt6を用いた解析から、P-TEFbによってリン酸化されるC末端領域が機能に重要であることを明らかにした。 我々は昨年度、hSpt6がDSIFと協調的に後期の伸長反応を促進することを報告している。本研究ではこの報告を併せて、P-TEFbによるリン酸化を分子スイッチとしてDSIFの協調因子がNELFからhSpt6に切り替わり、伸長反応が初期から後期へ移行するモデルを提唱した。 なお、第28回日本分子生物学会年会において上記の成果をポスター発表した。また、P-TEFbによる伸長制御と精子形成に関する共同研究が論文発表された。
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Research Products
(1 results)